【鹿児島】本格焼酎「海童」「隠し蔵」などの醸造元、濵田酒造(本社・いちき串木野市湊町、濵田雄一郎社長)グループの焼酎製造場、薩摩金山蔵(株)(同市下名、同)が7月20日、「薩摩金山私学校」を開校した。「鹿児島の自然・歴史・文化・産業を見直し、“薩摩の精神”を伝承していくこと」(同社)を目的に創設したもの。受講資格は問わず、同蔵を拠点に地元鹿児島に関連の深い講座を定期開講する予定だ。
校名は、350年の歴史を持つ“串木野金山”と、西郷隆盛が青年教育のために設立した“私学校”に由来。建学理念として、「自然と人間との共存を図り、環境保全の持続に寄与する」「薩摩の歴史を尊重し、薩摩魂を継承していく」「古の文化から先人の想いを享受し、現代生活に生かしていく」「地元に根付く産業の価値を知り、新たな展開を考察する」を掲げる。総長は同社濵田社長。学長には鹿児島大学生涯学習センター・原口泉センター長を迎え、開校日20日には、同氏が“島津斉彬の挑戦<焼酎、金山、温泉研究>”をテーマに基調講演を行った。
講義場所は同蔵および関連施設。講座はおおむね月1回の定期開講。受講料として入学金1000円(学生500円)、受講費1000円から3500円を徴収する。講義参加に伴い単位認定し、単位取得数に応じ粗品などを進呈。修了証書の発行も検討している。
今後の講義は、“かごしま食暦、とっておきの話”“かごしまにまつわる文学”“日置南洲窯元を招いての陶芸体験”など多彩。地元の産業見学会を催すほか、野太刀自顕流体験、写経・座禅体験など薩摩文化の一端に触れる機会も設ける予定。夏休みに合わせた特別講座として、小学生ら親子を対象に金山の地下トンネルを探検したり、金山周辺を探索し、自分だけのマップづくりに取り組むフィールドワークも企画している。
薩摩金山蔵は昨年4月に竣工。薩摩金山に触れるテーマパーク、串木野ゴールドパークの跡地を再開発したもので、「世界初の坑道内焼酎仕込み」(同社)を実現するとともに、6万5000平方mの敷地内には地下鉱泉水を活用した温浴施設も備えている。投資総事業費は約6億円。
竣工披露の会見で濵田社長は、同蔵が同社にとって強力な文化情報発信拠点になるとの見解を示した。「傳藏院蔵」「焼酎蔵薩洲濵田屋伝兵衛」に続く第3の焼酎製造場は、「本格焼酎500年の歴史、薩摩を語る場となる」と強調。「薩摩金山は、薩摩藩を財政的に支え、明治維新を成し遂げるエネルギーともなった。350年の歴史を刻む、その場に、デコレーションではなく実質・実体を伴った現場が初めて登場したわけで、本格焼酎(の伝統や歴史)をオーバーラップさせ語ることができる」とし、「本格焼酎を真の国酒、日本文化の粋として世界へ発信することに挑戦していきたい」と訴えていた。