【熊本】球磨焼酎酒造組合(28社、林篤理事長)が、スコッチウイスキー業界との交流を深めている。
ブレンドや樽貯蔵法の技術導入はもとより、国内での産地ブランドの強化、さらには世界への飛躍を目指すもので、取り組みはジェトロ(日本貿易振興機構)が行うLL事業(Local to Local産業交流事業)の一環として進められている。すでに昨年2月には、球磨焼酎の蔵元が現地調査を目的に英国スコットランドの蒸留所などに赴いており、今回は、1月8日から14日まで7日間の日程で、同国の有識者、蒸留酒コンサルタントのジェームズ・スワン博士を招へいし、氏による蔵訪問や意見交換が行われた。
スワン博士は、英国政府補助による樽資材別の香気研究実績などがある、蒸留酒の技術コンサルタント分野における第一人者。来日後、人吉市に入った同氏は10日、一般市民向け講演会の講師(テーマ“スコッチウイスキーを育(はぐく)む風土”)を務めた後、翌11日から3日間、蔵訪問や意見交換を重ねた。訪問蔵は5社、意見交換のテーマは製造、樽貯蔵、ブレンドなどの技術関連から、海外マーケティングなど需要開拓関連にまで及び、氏にはジェトロ熊本関係者のほか、蒸留酒研究家の稲富孝一氏、酒文化研究所の狩野卓也所長、熊本県工業技術センターの西村賢了次長が同行した。
訪問蔵の1社、恒松酒造本店(球磨郡多良木町、恒松司孝社長)では、麹造り用の三角棚や蒸留機、樽貯蔵の現場などを見て回り、貯蔵原酒のテイスティングも行った。蔵見学終了後には、同社商品をテイスティング。シェリー樽貯蔵原酒ブレンドの商品に対し、「パフューム、香水のような香りがあり、フレーバーの複雑さが高まっているが、もう少しブレンド量を増やした方がいい」と評価、アドバイスした。その後も次々とテイスティングを重ねながら、樽環境の改善策についての助言なども行った。
終了後は人吉市役所別館に会場を移し、第1回目製造についての意見交換会を開いた。同会には、蔵元関係20人が出席。オーク樽の産地によって個性の出方が異なることや、蒸留器の形状、例えばラインアーム(=渡り)の長さや角度が酒質形成に及ぼす影響、蒸留カットのタイミングなどについて持論を展開。専門分野における具体論で質疑応答は過熱した。
組合では今年5月ごろ、さらに交流を深め現地業者との商談なども行うミッション派遣を予定している。