清酒値上げ、最重要課題 清酒中央会辰馬会長が会見

 日本酒造組合中央会は昨年12月19日に「平成19年度第1回全国酒造組合会長協議会」を開催し、酒造業界の今後の重要課題などについて協議した後、酒類専門紙記者との記者会見を行った。席上、辰馬章夫中央会会長は19年度の回顧と新年度の活動方針などについて次のとおり語った。

 ■辰馬中央会会長■

 (1)酒造業界にとって最も大事な年末の感触は、消費者の財布のひもが固く、食品類などの値上げや一連の食品不祥事の影響もあり厳しい状況だ。低迷に歯止めがかけられずに年末を迎えて、年間で清酒は前年比95%あたりの攻防になりそうだ。吟醸酒、純米酒は好調だが、低調な一般酒と本醸造酒の拡大が大きなテーマだ。イベントや試飲会、きき酒会では女性を中心に人気、熱気があるが、家庭での晩酌や飲食店で清酒が飲まれることにどうもつながらない。こういうギャップの解消が今後の課題で、このギャップへの橋渡しに対して需要開発の予算を投入したい。清酒にとって海外市場の拡大も大事だが、今後は儲かる市場として育てていくことが重要で、海外市場への支援を考えなければならない。

 (2)酒造業界が強く要望してきた租税特別措置法第87条の延長は、われわれの願いが結実したのは喜ばしいが、今後は業界全体として「租特措置依存」からの脱却が重要だ。新年度における酒造業界の最大の課題は何と言っても清酒の需要開発で、これができればすべての問題が解決するが、ここにきて清酒は厳しいコストアップ要因を抱えている。すなわち、原料米価格は少し下がっているが、これを上回る原料アルコールや諸資材の値上がりなどのコストアップ要因が発生し、企業経営上、清酒の値上げ問題が新年の大きなテーマとなるだろう。ただし、現在の清酒販売市場では希望小売価格(建値)と実勢価格の間に乖離(かいり)が大きいという問題があり、もうしばらくの間は環境整備が必要ではないか。値上げ表明よりも市場正常化の方が先だ、との意見もある。

 次に太田譲二中央会副会長は清酒のコストアップ要因について、「ここにきて諸資材、アルコールが2割、3割も値上がりの要求がされており、運賃もアップされる状況で、これらを価格転嫁せざるを得ないとみられる」と説明した。

 また、淺見敏彦副会長は全国県連会長協議会で、租税特別措置の5年間延長問題について「租特措置延長の今回の決着は評価しているが、租特措置の延長に係る問題として“1”租特措置の軽減率が4年目から25%が20%に下がることになったが、軽減率が下がる3年後までに清酒業界の今後のあり方を踏まえて酒税制度の根本的な問題を含めて議論するよう自民党税制調査会の正副幹部会と小委員会で発言があった。今回の租特決着にただ満足するのではなく、酒税税制などの議論をスタートしたい“2”消費税問題、タックス・オン・タックス(酒税と消費税の併課の問題)など根本的問題を議論してもらいたい“3”ねじれ国会の中で、衆議院で可決・通過しても、参議院での可決が問題で、租税特別措置法案など日切れ法案が通過しないという懸念もあるので、その時になれば野党対策が必要になってくる。なお、酒税軽減の租特措置の延長は中小酒造業者が今後の経営安定計画を策定しやすいように酒造業界から要望したものだ」と、説明・報告した。

(掲載日:2008年01月21日)

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