淺見敏彦・日本酒造組合副会長は、5月29日開催の同中央会東京支部の通常総会で、「日本酒の明日を考える」とのテーマで講演を次のとおり行った。
<酒類全体の課税出荷と清酒の需要動向>
酒類全体は横ばいの高原状態で、衰退産業ではなく、成熟産業だ。ビールは低下傾向で、ビール風飲料に食われている。清酒は平成7年以来、低迷が続きリキュールにも抜かれている。単式蒸留焼酎が清酒を抜く状況だ。アルコール度数換算では単式蒸留焼酎が、清酒を逆転した。
清酒の出荷動向は、18CYと18FYとも前年度に比し96・2%(3・8%減少)で約4%減のすう勢だ。近いうちに清酒の消費の底打ち宣言をしたいのが辰馬会長の願望だが、約4%減の瞬間風速が吹いていて、なかなか底打ちができない状況だ。ただ、「清酒+焼酎乙類」という和酒、つまり麹を使った酒は、そんなに衰退していない。
清酒が減ったのは、普通酒と本醸造酒が減っているためで、純米酒・純米吟醸酒・大吟醸酒はしっかり伸びている。従って一般酒、本醸造酒がしっかり消費者の心・ニーズをつかまえて対応することが必要だ。
清酒の消費状況が厳しい中で、いい芽が段々と出てきている。例えば、輸出の伸長などもあり、これら一つ一つを積み重ねなければならない。全酒類中の清酒のシェアが7・7%にまで低下し、これで國酒と果たして言えるのか。このこともしっかり考えねばならない。
輸出では、アメリカなどへの清酒輸出を支援する必要がある。ヨーロッパでも清酒の話題性が高まっており、日本酒の国際性の向上が大事だ。
<清酒の需要開発>
「湯煎」「燗酒」に力を入れて、さまざまな味わいを楽しめる、ちゃんとした燗酒を提供するのが大事だ。小容量の清酒、カップ小容量商品で商品の多様性、いろいろな酒質を楽しめるよう工夫、提案も必要だ。清酒を健康的に楽しむ“和らぎ水”キャンペーンは、ぜひとも成功させねばならない。
また、日本酒に対する評価、関心の矮小化(わいしょうか)現象も日本酒の衰退の一つの原因でもあるので、日本人の食生活の乱れ、食文化の基盤の崩壊を正して行くことも必要だ。
いずれにしても、日本酒の需要開発運動は、酒造業界の最も大切な課題としてさらに注力しなければならない。
<今後の酒税制度の改正要望>
酒造業界のインフラである酒税制度は、平成18年度の酒税制度の見直しを踏まえて“1”清酒の酒税負担の大幅な軽減“2”清酒に非ざるものへの「清酒」の名称の付与の是正“3”「焼酎」との名称の厳格化“4”伝統民族酒生産事業者に対する中小企業対策(地場産業の育成)、農業対策などの観点から特別措置の確立などを、これまでの要望の方向と同様に強く訴求して行く。
<租税特別措置法第87条に基づく中小酒造業者に対する酒税軽減措置の延長の要望について>
来る6月6日開催の日本酒造組合中央会通常総会において、租特措置の存続・延長の要望を決議する。
決議要望の要旨=清酒業者は長年、過重な酒税負担を強いられてきたが、平成元年に租特法による軽減措置が認められた。しかし、昨今の清酒などの市場動向は需要不振が続き、平成7年以降は大幅に需要が減少し、酒類中の清酒シェアは7%と低迷しており、多くの中小企業は、存続が困難な状況となって来ている。このため地場産業の活性化、地域経済の振興のため、酒造中小企業が大部分を占める業界構造を存続し得るよう租特措置の延長を認めるよう決議する。