【熊本】高校生が醸す“南稜焼酎”に太鼓判--。昨年3月、焼酎乙類の試験製造免許を取得し、醸造科目を設けた熊本県立南稜高等学校(球磨郡あさぎり町、片岡正實校長)の食品科学科の生徒が初めて造った米焼酎の品評会が1月11日同校であり、そのできばえが専門家から高く評価された。
品評会には、熊本国税局・神谷昌宏鑑定官室長、熊本県工業技術センター・林田安生微生物応用部研究参事、球磨焼酎酒造組合・林篤理事長をはじめ、地元の蔵元や杜氏らが出席。同校食品科学科では昨年10月から12月にかけ、3年の生徒40人が、校内で有機栽培したヒノヒカリを原料に、河内白麹菌、熊本県酵母で仕込み、麹歩合(33%、53%)と蒸留法(減圧・常圧)の組み合わせを変え4種の米焼酎を製造しているが、そのすべてについて総合官能評価し、生徒らも自ら醸した焼酎の色や香りを確かめた。
熊本局神谷室長は、「常圧蒸留のものは味もおいしく香りもしっかりし、芳醇で上品。減圧のものはアルデヒド臭があるものの、それに気をつければ、より華やかですっきりしたものになるだろう」と品評。蒸留装置が小型で操作が難しい点などもクリアし、そのできばえは上々だと認めた。意見交換会では、「焼酎で一番大事なのは麹造り」だとして、蓋(ふた)麹造りへの挑戦も提案した。県工技林田参事も、「すごくきれいでおいしいお酒になっている」と評価したうえで、「きれいということは処理のし過ぎでもあり、もっと本来の味を出してみよう」とアドバイスした。高校生の焼酎造り初挑戦を技術指導などで支援してきた地元の蔵元や杜氏からも、一様に高く評価する声が聞かれた。
熊本国税局管内南九州4県には焼酎乙類の試験製造免許取得の高校が他に2校あるが、科目新設や醸造実習には至っておらず、全国で唯一の取り組みといえる。米焼酎の蔵元28社が群集する人吉・球磨地域にあることから、地元の酒造組合、蔵元、杜氏らの全面支援を得て、学びをより生きた、実践的なものにしている。焼酎粕は同校付属農場で飼育の牛の飼料化活用で処理し、米作りから粕処理まで校内循環の体制をとっているのも特徴だ。
今回の仕込みでは、25度換算約60Lの米焼酎を製造。試験製造免許(製造制限数量=1会計年度100L)のため販売はできず、貯蔵研究を続けることになる。渕上裕仁担当教諭は今後の醸造実習方針について、「地元で主流の白麹を使った米焼酎一本で行きたい」との考えを示すとともに、さまざまな品種の“校内米”での試醸にも意欲を見せている。