【鹿児島】“復活の白玉米”生産農家のムラに光--。焼酎や清酒の麹米用に白玉米を栽培する鹿児島県曽於市「中谷地区」のむらづくり委員会が、農林水産省の「豊かなむらづくり全国表彰事業」で農林水産大臣賞を受賞した。表彰式は10月8日、熊本市で行われ、業績も発表された。
農水省の「--事業」は、農山漁村におけるむらづくりの全国的な展開を促すため、(財)日本農林漁業振興会との共催で、昭和54年度から実施しているもの。
「中谷地区」は、宮崎県都城市に隣接する中山間地域。6集落151世帯、379人が暮らす(平成17年)。平成以来、人口の減少や耕作放棄地の増大が深刻化。地元中谷小学校の廃校危機にも見舞われた。
むらに活気を取り戻そうと、平成7年から始めたのが復活の酒米、白玉米の栽培だった。白玉米は、江戸嘉永年間の1849年、福岡県の弥作という人が日向の国から持ち帰って以降、九州一円で栽培され酒米にも使われたが、丈が高いなどの栽培リスクから昭和期には姿を消していた。
復活を強く願ったのは、かつての日向の国、曽於市財部町で酒小売業「焼酎屋の前畑」を営む前畑浩一さんだった。地元の生産農家、下川幸春さん(「白玉米復活栽培保存会」現会長)や行政・農業指導機関はじめ、中谷の多くの人に支えられて、復活は実現し、その後、芋焼酎「侍士の門(さむらいのもん)」(太久保酒造・鹿児島県大崎町)の麹米となった。同様に白玉米を麹米に使う酒は、芋焼酎の「弥作」(鹿児島酒造・同県阿久根市)など、さらには白玉米のもう一つのルーツ、福岡の蔵元が醸す清酒「日本酒『侍士の門』」(若波酒造・福岡県大川市)と商品ジャンルを広げている。前畑さんは卸会社「天世味(あませあじ)酒販」社長として、その販売にも力を注ぎ、今回の受賞を「中谷の人にやっと光が当たった」と喜ぶ。
今回の表彰では、中谷地区の一連の取り組みに対し、“幻の米・白玉米復活プロジェクト”と“小学校と連携したむらづくり”を合わせ評価。白玉米栽培については、「栽培面積14ha、収量40tにまで拡大し、耕作放棄地の解消にも貢献している」と付言し、農業再生の切り口でもその成果を認めた。