1964年の発売以来、カップ清酒のパイオニアとして知られる大関の『ワンカップ』シリーズに、新しく「ワンカップブラック200ml」が加わった。小売価格(税別)が150円と、リーズナブルな設定で消費者のニーズに応えるとともに、「ワンカップ大関」という確固たるブランドバリューによって、注目を集める同商品。その販売戦略について、同社マーケティング部の長石元一部長に話を聞いた。
――従来は「のものも」でカップの経済酒市場に対応してきたわけですが、この市場に「ワンカップブラック200ml」を発売した理由は。
長石 カップ酒市場の商品価格軸には、上撰に代表される200円を超える軸と、経済性の高い150円の軸の2つが存在します。経済性の高い市場には、これまで「のものも」で対応してきましたが、変化する市場や業態を考えると、ここに消費者のニーズに対応した商品を投入することは避けられません。そこで商品化を進めるにあたり、自社でも調査したところ、消費者がカップ商品を購入するときに重視する事柄が、まず一番に「ブランド」、次いで「価格」「味」と続くことがわかりました。そしてこの3つを網羅するものとして、カップ清酒では圧倒的な認知度を誇る「ワンカップ」を採用することを決めました。
――ラベルに黒を採用したのは、これまでのカップ酒の常識を覆すものですが。
長石 選択肢はいろいろありましたが、売り場へ投入した時に、従来の「ワンカップ」のブルーと違う表現ができ、また他社商品の赤色と同質化しないことを念頭に、黒をチョイスしました。結果的に、流行色として黒の好感度が高いという点や、売り場に並べた場合、ブラックの高級感が出るというコメントもセールスから上がってきており、「価格の安いワンカップを出した」というイメージをもたれなかった点ではよかったのかなと思います。
――広告戦略では、地下街の柱広告が印象的でした。
長石 円形の柱にパッケージを巻くので、商品と同じ形になり、商品を認識してもらう点で大変効果がありました。東京の池袋・新宿・新橋・渋谷、大阪の淀屋橋・梅田・難波で10月中に2週間の限定で行いましたが、予想以上の効果があったように思います。今後は、11月下旬までの限定で、JR三ノ宮駅前のミント神戸(神戸新聞会館ビル)に設置されている発光ダイオード(LED)の大型画面「ミントビジョン」で、商品映像を流していく予定です。
――発売後の手ごたえはどうでしょう。
長石 10月11日に出荷を開始しましたが、ほぼ想定した量を出荷できました。店頭での動きは今後の状況をみないと分かりませんが、目論見どおりのスタートをきれたことには満足しています。
――今後どういう業態を中心に拡売を図っていく予定ですか。
長石 販売当初から、各地域の食品スーパーに入れていくことに重点を置いています。発売が10月で売り場の棚割りが終わっているため、導入は半期待たなければならないと考えていましたが、ありがたいことに『ワンカップ』のブランドが定着しているおかげで、全国系CVSのほとんどで取り扱っていただけることになりました。今後は現在入っている企業に対してきっちり売り場を押さえていくこと、売場を確保するための提案をしていくことが重要で、なにより今回入らなかった業態に、来春に採用していただくことが大命題と考えています。