【熊本】「日本の中で、いや世界の中で、お酒が好きな方にとって熊本ほど恵まれた地域はない。日本の2つの國酒、清酒と焼酎。その双方の酒文化にはぐくまれた県産の日本酒と焼酎を、地元の人にこそ愛してほしい」--。
そんな願いを込め、県下27店の酒販店有志でつくる「熊本の酒推進委員会」が主催した消費者対象の酒会「くまもとの日本酒・焼酎を楽しむ会、愛してますか?くまもとの酒の夕べ」が6月17日、熊本市内のホテルであった。
酒会開催は昨年に続き2回目。今回は県下の日本酒・焼酎の蔵元29社(熊本酒造組合と球磨焼酎酒造組合の加盟社)が約90銘柄を出展し、前回の310人を上回る360人が来場した。
主催の推進委員会は、「熊本には日本酒の美酒あり、焼酎の美酒あり」とアピール。
日本酒については、熊本が醸造の南限であることや、南国での醸造を可能にするための技術革新が求められ、研究拠点として熊本県酒造研究所(「香露」)が設立されたこと、昭和28年に同所で熊本酵母(のちに協会9号酵母)が発見され、その酵母は全国の蔵元から高く評価され普及していることなど説明。
焼酎については、人吉球磨地方の相良藩政下において、豊穣の地の利を得て貴重なコメを贅沢に使った焼酎づくりが盛んに行われた歴史、米製の球磨焼酎は世界基準で産地が保護されているブランドであることも訴えた。
そこで、酒会出展酒のコンセプトは“オール熊本”。県産のコメ、水、酵母(熊本酵母、主に日本酒)を使い、県内の蔵元で仕込んだ酒。“伝統的な熊本の流儀”、地元ではぐくまれた技で造られていることも強調した。
来場者は蔵元との会話を楽しみ、また造り手の思いに触れ、県産酒の魅力を再発見し、酒が取り持つ和になごみ、存分に“地の酒”を堪能した。ある初老の男性は、「初めて飲むお酒ばかりだが、どれもこれも本当においしい」と話し、新たなお酒との出会いに大満足の様子だった。
地元のお酒を楽しむ酒会は、主催者が酒造組合だったり、小売専門店単独のケースがあるが、30店近くの酒販店が大同団結し催すことは珍しく、県内の造り手と売り手が連携を深めていくことが期待されている。
参加蔵元も、「酒販店さんが主体でやる意義が大きい。実需につながるには時間はかかるだろうが、将来へ向け明るい材料をいただいている」「造り手と売り手、飲み手の距離が縮まりつつある気運を感じる」と認める。推進協議会メンバーの酒販店限定で展開する商品開発を進めている蔵元もあった。
主催者を代表しあいさつに立った酒販店経営者は、「1つの県に、これだけの日本酒、焼酎の蔵がある県はない。地元の風土にはぐくまれ個性あるお酒を造る蔵元は、この土地の宝だ」と胸を張った。そして来場者へ、「熊本のお酒を愛する波を創るオピニオンリーダーになってほしい」と呼びかけた。