鹿児島酒造 麹造りの匠、世に問う芋焼酎

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 【鹿児島】薩摩の芋焼酎造りを支える技術者集団、黒瀬杜氏。なかでも、麹菌を自在に操る名人として知られる黒瀬安光杜氏(鹿児島酒造<製造場・阿久根市>取締役常務・総杜氏)が、伝承・習得の技を集大成したという本格芋焼酎「初代黒瀬杜氏・黒瀬金次郎」を2月17日、鹿児島市内のレストランで披露した。

 酒名にある「黒瀬金次郎」は同氏の実父の名。これまで封印されてきた父直伝の技と、その子・安光氏が半世紀を超える焼酎造りで磨いた技を融合させ、“黒瀬杜氏の伝統と革新の精神の復刻”を目指した。

 金次郎氏は明治25年、鹿児島県笠沙町、薩摩半島南部の野間半島にある黒瀬集落に生まれた。明治期、集落の数人が焼酎造りの技術を学ぶため琉球へ渡り、そこで出会ったのが泡盛に使われていた黒麹。それまで本格焼酎の製麹に清酒と同様の黄麹が用いられていた状況に、黒麹を活用することで風穴を開け、焼酎醸造技術の革新が始まったと伝えられている。金次郎氏はその立役者で、県内外で焼酎造りに奔走。「“初代黒瀬杜氏”の名声を築いた」(同社)という。

 本格芋焼酎「--黒瀬金次郎」は2つの麹菌、主要麹に「黒麹G型ゴールド」、添え麹に「ネオマイセル吟醸麹」を併用しているのが特徴。前者は主流の黒麹NK菌ではなく、様々の黒麹のなかでも胞子が繊細で発育が早いことから扱いにくい菌種で、奥深いコクを持つ酒質を引き出す。後者は清酒麹のなかでも芳香性が高く、酵素力が強く、甘味と旨みをたたえながら、キレが良い、絶妙なバランスを実現した。「いつまでも甘味を感じていただける」(黒瀬杜氏)。ネオマイセルの併用が、独特な余韻を醸す。
 当日の商品発表レセプションは、「--黒瀬金次郎」の商品化を黒瀬安光杜氏に強く懇願した酒販店「酒商 鹿児島 蔵や」(鹿児島市和田町、川畑彰良社長)のオープン記念として共催。約80人が集い、「--黒瀬金次郎」を存分に味わったほか、杜氏による講演も行われた。

 焼酎造りについて、「子供を育てるのと同じ。現場では鼻歌を歌うような気分で働いてほしい」と語り、蔵の和を重んじてきた杜氏は、金次郎氏7人の子の末っ子。直伝の技を継承しながら、焼き芋を原料にした芋焼酎や10年貯蔵の芋焼酎を商品化するなど進取の精神も発揮してきた。「--黒瀬金次郎」は同日付け正式発売<税込み希望小売価格1・8l7350円、720ml2940円>。当面、地元を中心に数店の酒販店での取扱いになる見込みだ。父の名を冠した芋焼酎へは熱い思いも。「15歳で蔵に飛び込み、親父を恨んだこともあったが、今は有難うという気持ち」だと語った。

(掲載日:2007年02月26日)

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