大分県酒造組合 国産小楢樽貯蔵焼酎、6社が発売

 【大分】荒廃する里山を再生したい--。そんな願いを込め大分県酒造組合(西太一郎会長)加盟6社が5月20日、国産広葉樹の小楢(コナラ)の樽で貯蔵した大分麦焼酎を発売した。広葉樹の用途開発により森林資源の循環を促し里山の復活につなげる構想で、メーカーにとっては、「ウイスキーの世界とは異なる概念で、日本の麦焼酎の高付加価値化、差別化を確立する」(同酒造組合)ねらいもある。

 日本の広葉樹はすでに木材活用の流通もなく、生産者も管理・保全意欲をなくしているのが現状で、針葉樹の集中植林の弊害もあり、里山は危機に瀕しているという。そうした状況に一石を投じようと、平成13年、“里山復活のデザイン”を描く九州大学芸術工学研究院・石村眞一教授が酒造組合に、「国産広葉樹の焼酎貯蔵用樽材としての活用」を提案。調査研究が翌14年度から16年度までの3年間、酒造協同組合組織を母体に日本酒造組合中央会の助成を受け進められた。

 試験対象の広葉樹は14品種に及び、石村教授助言のもと、同協同組合、県本格焼酎技術研究会(県内メーカー、県産業科学技術センター)が貯蔵試験、官能評価を重ねた結果、香味面で優位なコナラを選定。約6カ月の貯蔵期間を経て商品化した。

 実用化試験には8社が参加。うち6社(赤嶺酒造場、三和酒類、四ツ谷酒造、井上酒造、久家本店、ぶんご銘醸)が今回、“森のささやき”を統一小印とする新商品(アルコール度25度~35度、容量720ML、税込希望小売価格1500円~2730円)を発売した。

 新商品は地元百貨店関連の大型商業施設、トキハわさだタウン(大分市)で開催初日の“活き活き大分じまん市”に合わせ発表。お披露目となった試飲即売会では、開店前に整理券を配ったり、即完売の商品が出るなど関心の高さをうかがわせた。

 当日の会見では、開発の全般について三和酒類・下田雅彦常務取締役が説明。コナラ材樽貯蔵ならではの特徴を「深いコクと、里山をイメージさせる素朴でまろやかな和風の味わい」と表現した。

 酒造組合・西会長は、「50年先、100年先までおいしい水をいただくには、いい里山の環境がなければならない。小さな一歩だが、里山活性化のお役に立ちたい」とあいさつ。県農林水産部・武田寛部長は、今回の取り組みが、今春から森林環境税を導入し、荒廃した山林の再生を目指す県政にも方向で一致するものだとし、複数メーカーの共同事業であることも評価。環境改善につながる「確実な一歩」だとたたえた。

 今回樽材としたコナラは、福島県産・樹齢100年程度のものが使われたが、将来的には大分県産のコナラを使用したいこと、その実現のために取り組みを継続させる考えが示された。石村教授は、「かつては生活の糧になっていた広葉樹が、今は手入れをしないから安価なチップにしかならない。樽材など木材利用によって、経済的にも還元するシステムを再構築していく必要がある。今回の取り組みが刺激になり、(里山復活の)運動が広がることを願う」と語る。

(掲載日:2006年05月25日)

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