キリンホールディングス(キリンHD)とメルシャンは、8月27日開催の両社の取締役会で、キリンHDを完全親会社、メルシャンを完全子会社とする株式交換を実施することを決議し、同日、株式交換契約を締結した。今年5月に判明したメルシャンの不適切取引を受けての急務となった。株式交換は、今年11月5日開催予定のメルシャンの臨時株主総会の決議で同株式交換契約の承認を受けた上、12月1日を効力発生日として行う予定だ。
キリンHDとメルシャンは、平成18年に戦略的業務提携契約を締結して以来、キリングループ長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2015(KV2015)」の実現に向けて、総合飲料グループ戦略を推進すべく、キリングループのマーチャンダイジング機能を活用した販売力強化、生産、物流拠点の有効活用、および積極的な人材の交流などで経営資源の効率化と収益性の向上を図り、一定の成果を挙げてきた。
しかし、今年5月にメルシャンの水産飼料事業部で不適切取引が判明し、メルシャンでは過年度決算を修正する事態となった。今回の事態を受けて、キリンHDはメルシャンの経営基盤およびコーポレートガバナンスの強化が急務と判断し、メルシャンを完全子会社とすることにした。
キリンHDによる完全子会社化を通じて、今後メルシャンは、「安定した収益・事業基盤を早急に構築し、お客さまへ一層、高品質な製品・サービスの提供を行うとともに、ワイン・酒類事業を中心に、迅速な意思決定と実行力による経営の効率化、および外的環境変化への対応力強化を図り、持続的な成長と発展を追及していく」としている。また、国内酒類事業のグループ連携をより強化することで、シナジーの創出と競争力の向上を図り、KV2015に掲げる「食と健康」領域での飛躍的成長を実現し、メルシャンおよびキリングループのさらなる企業価値向上に取り組んでいくとしている。
今回の株式交換により、効力発生日の12月1日でメルシャンはキリンHDの完全子会社となることから、メルシャン株式は東京証券取引所および大阪証券取引所の上場廃止基準に従い、11月26日に上場廃止となる予定。キリンHDでは、メルシャンの普通株式1株に対してキリンHDの普通株式0・14株を割り当て交付することにしている。
今回の一件は、ビールメーカー各社が国内・海外ともに進めるグループ経営の弊害といえよう。完全子会社とすることで、メルシャンの得意とするワイン市場をさらに活性化し、酒類業界全体の発展に結びつくことが求められている。