国税庁と酒類業中央団体の意見交換会が2月4日、国税庁で開催され、各酒類業中央団体の会長、理事長らから業界の実状と課題、酒類行政への要望事項を説明し、意見交換を行った。
冒頭、牧野治郎国税庁長官があいさつの中で「酒類業界は飲酒人口の減少、生活様式の変化、社会的規制の緩和の進展など、さまざまな変化に直面しており、国税庁でもこれらの環境変化に対応した行政を行いたい」と述べた。
次いで、酒類業中央団体連絡協議会幹事団体の全国小売酒販組合中央会の藤田利久会長が「酒類小売業者の組織再生への取り組みと、不公正な市場価格の是正が最大の課題だ。また、外国為替相場の変化も影響が大きいが酒類の需給バランスが必要だと考える」と指摘した。
各酒類業団体の会長、理事長らから個々の酒類業界の実状と問題点などについて次の通り説明された。
日本酒造組合中央会・辰馬会長=清酒の全酒類中のシェアは今や7・5%に落ちている。家庭での晩酌文化が衰退しており、消費者へのメッセージもうまく発信できていない。適正表示を通して消費者の期待を裏切らないようにしたい。また、不良品以外の返品を極力減らしたい。もう、メーカーの押し込み販売の時代ではない。古いからと、すぐ返品されて欠陥のない商品が廃棄されるのには心が痛む。
日本蒸留酒酒造組合・大宮理事長=連続式蒸留焼酎と合成清酒の需要は減少傾向が続き懸念している。蒸留酒の公正取引は国税庁の「新指針」を遵守することによって業界をあげて真摯に取り組みたいので、国税当局の積極的な指導をお願いしたい。連続式蒸留焼酎の表示自主基準については、各組合員は新基準による表示に切り替え実施している。しかし、海外から輸入されている連続式蒸留焼酎は全体の16%に及び、輸入品を販売している事業者に対しても新表示基準をとどけて準拠を要望しているので、国税庁も指導を願いたい。また、酒類用アルコールと他のアルコールの区分の問題については、厳格な管理のもとでの運用を要望する。それとともに、アルコールの供給過多を回避するため、市場安定ひいては酒類保全のための酒類用アルコール蒸留設備の新設・増設には財務省令の厳格な適用をお願いする。
ビール酒造組合・佐治会長=今年度の税制改正ではビール酒税の減税は実現しなかったが、今後も引き続き要望する。今年5月にはWHO(世界保健機関)の総会が開催され、アルコール問題が検討されるので、国税当局も関係省庁(外務省・厚生労働省)との連携や情報収集をお願いする。アルコール関連問題では未成年者飲酒防止を最重要課題としているので、組織小売業との協力も必要だ。
日本洋酒酒造組合・下村専務理事=昨年のウイスキー課税出荷数量は約6万klで、昭和58年ピーク時の5分の1だが、シングルモルトウイスキーは引き続き好調であるし、ジャパニーズウイスキーは国際コンペティションでも高い評価を受けている。缶チューハイは果汁飲料との誤認飲用の防止に努めたい。
日本ワイナリー協会・岡部理事長=国産ワインは平成10年度のピーク時の半分近くまで減少し、輸入ワインを含めたワイン全体では平成10年度の3分の2に減少していて、市場の回復と品質の確保が重要課題だ。国産ワインは、ぶどう栽培から着手して製品化しており、海外で成果をあげている。税制改正ではワインの特区制度が認められるが、既存業者に悪影響を与えることのないよう指導を願う。
全国卸売酒販組合中央会・国分会長=酒類市場に対する流通業界の認識は「縮小するマーケット・競争の激化・上昇する経費」で一般酒販店は減少し、これを受けて卸売業者も大きく構造変化した。卸売業者は、ここ10年間で半数以下に減少し、組合は都道府県単位で維持できなくなり、将来は国税局単位になるだろう。懸案のビールの値上げ・価格改定は、いかに卸価格に反映させて小売業者が販売するかが大きな課題だ。オープン価格になってから初めての価格改定であり、価格転嫁が課題である。“蛇口が閉まれば流れは止まる”といわれるが、東京の指導で小売業者の理解も得られるのではないか。酒類の適正生産が環境の改善に資するので、国税当局の指導をお願いする。小売免許の緩和で酒類取引の自由度は増したが、自由化の代償として責任と義務が求められる。酒類の管理には新たな“酒類事業法”を提唱しているので、行政の力添えを望みたい。
全国小売酒販組合中央会・藤田会長=組織小売業者の酒販組合への加入率アップを目指している。不当廉売の歯止めには需要と供給の適切なバランスが必要であり、ペナルティを課す独禁法の改正も必要だ。今回のビール各社の値上げは行政も、もっと迅速に対応しないと、小売業者は価格改定の見通しが立てられなくて困る。