全農ひろしま酒米懇談会 タンパク含量で品質区分

2005年09月14日

 【広島】JA全農ひろしま(香川洋之助本部長)は9月7日、県酒造組合連合会の役職員らを対象に「広島酒米懇談会」を開催した。今年度の酒米の作付や生育状況の報告、酒米生産者と酒造業者の意見交換が目的で、今年で10回目の開催となる。
 JA全農ひろしまの香川本部長は、「昨年は、2年連続の不作で本県でも作況指数は97の『やや不良』となった。そのような状況の中、平成16酒造年度全国新酒鑑評会では、県産の新しい好適米『千本錦』を積極的に使用し、素晴らしい成績を挙げていただいた。これは産地にとっても大きな希望と励みになった。平成17年産米は順調に生育しており、これから収穫期を迎えるが水分調整や保管、輸送などに万全を尽くしていきたい」とあいさつした。また、広島県酒造組合連合会の三宅清嗣会長は、「JAと酒造組合がこうして懇談会を開催するのは広島県では当たり前だが、全国的に見ると決してそうではない。われわれは非常に恵まれた環境にある。先輩たちが英々と築いてきた関係、今後もこの関係を続けていきたい」と話した。
 米穀情勢の報告に立った、米穀農産部米穀課の田城敏課長が広島酒米振興方針として、①生産体制の構築②品質向上対策③安全・安心米への取り組み④計画生産・計画販売への取り組み--を重点的に実施すると説明。特に、品質向上対策の一環として低タンパク米への取り組みを進めるとし、「玄米タンパク含量による仕分けを、まずは『千本錦』からスタートし、『八反』『八反錦』と拡大していきたい」と説明。また、契約栽培については、同部・高尾信介部長が、「今までも一部のこだわり米では行われていたが、平成18年から徐々にすべての酒米に広げていきたい。これから詳細を詰めていくが、一定の価格決定ルール(過去5年間の最高値と最安値を除いた平均値)に基づいた数量契約を行っていきたい」と説明した。
 各産地からの報告によると、今年度の酒米の状況は、各産地とも田植以降は天候に恵まれ生育は順調に推移(同日現在)。8月15日現在の生育の良否も、平年に比べて「やや良」と発表されている。しかし昨年は、広島県に4度も上陸した台風によって、酒米の品質にも大きな影響を与えたため、「収穫までは安心できない」と危ぐしている。今月5日、6日には大型の台風14号が日本に上陸したが、県内の酒米についてはそれほど大きな被害は出ていないもようだ。
 その後、質疑に入り、酒造組合側から「草合歓(クサネム)の混入を極力抑えてもらいたい」「適切な水分調整をお願いしたい」など要望が寄せられたほか、酒米生産者側からは「年々清酒の需要が落ち込んでいるが、今後の見込みは」などの質問が出た。