山口県の岩国小売 来年3月で組合解散

2009年12月18日

 【山口】山口県にある岩国小売酒販組合(岩国市麻里布町、藤兼利彦理事長)は、来年3月末でビール券を販売する酒販協同組合とあわせて小売組合を解散することを11月26日の臨時総会で決めた。「解散か存続か」を組合員に問い、3分の2以上の決議に達した。組織の消滅後もビール券などを必要とする組合員がいることから、近隣の組合に所属することが出来るかどうかなどを含め手続きを進めている。

 岩国小売酒販組合は、錦帯橋や米軍基地などで知られる岩国市と玖珂郡和気町の酒販店142人で組織。県内東部の広島県境に位置し、西側を柳井小売酒販組合と接している。臨時総会は実際の出席36人、委任52人と過半数の88人で定款通り成立。事前に審議内容を知らせており、会場から「縮小して形を変えてでも良いから残してほしい」と訴える声もあがったが、解散の賛成票が存続や保留を上回った。

 関係者によると、組合員数は過去300人近くにのぼったが、転業や廃業をする組合員が増加。スーパー、コンビニなど異業種の酒屋が増えるなか、新規の業者を中心に勧誘しても入らないケースが多かったという。岩国市内では少なくとも半数が非組合員と見ている。このため赤字を出さない健全なうちに解散しようと2年前から具体策を検討。事務所など固定資産は昨年、売却して賃貸に切り替えて現金化したが、1-2年はメドが立っても5-10年は維持が無理と決断した。

 事務統合なども検討したが、委託に関しても負担が大きいと判断。ただビール券などを販売する組合員が置き去りになることだけは避けたいとの思いで、受け皿として定款の変更など近隣の組合と現在、手続きを進めている。エリア内に卸業者が多かったことから、酒協は卸免許を取得せずに取り扱いは商品券が中心という。

 今回の解散について関係者は「組合員が減ると1人あたりの負担が増えている。本来なら組合があるにこしたことはないが、維持には経費がかかり、単に組合があるというだけでは現実的にやっていけない。全国で困っている組織も多く、守ってあげてほしい」と強調。藤兼利彦理事長は「組合員の減少と異業種新規業者が組合に入らない状況があるうえ、組合員の高齢化が進むとともに転業や廃業で役員の成り手がいない。経費の問題も重なった。組合に求められているものに対して明確な答えを出せず、今なら組合員に迷惑をかけずに解散できると考えた」と話している。