酒造中央会中国支部が夏期酒造ゼミ、清酒の未来を探る

2005年09月07日

 【松江】日本酒造組合中央会中国支部(宮下附一竜会長)は8月25、26日の両日、松江市のホテル一畑で「第31回夏期酒造ゼミナール」を開催した。当日は、中国地方の酒造メーカーから経営者や従業員、蔵人など100人超が参加。講師の話に熱心に耳を傾けていた。
 今年は、日本酒造組合中央会から酒井佑副会長が「最近の中央情勢」と題した講演を行ったほか、広島国税局の森岡昭憲酒類監理官が「酒蔵健康診断」、秋田大学の滝沢行雄名誉教授が「日本酒で健康になる」、日本政策投資銀行政策企画部の佐藤淳課長が「焼酎ブームを和酒ブームに転ずるために」、和田哲の和田亮介会長が「乱世を生きる経営」、出雲大社の千家和比古権宮司が「御酒と、神と人と」でそれぞれ講演を行った。
 今年の4月まで、鹿児島県で芋焼酎の調査を担当していた日本政策投資銀行の佐藤氏は、「焼酎は、近年のブランド時代とうまくマッチして伸びていった。しかし、これからは食の安心・安全といったことが、より強く問われることになるだろう。現在、芋焼酎を除く他の原料は減少傾向にある。それらの原料は輸入に頼った部分があり、食の安心・安全に沿った流れとは言い難い」と焼酎市場を分析。今後は「一層、安心・安全や本物志向・ブランド価値を訴えていく必要がある」とトレーサビリティの重要性を強調した。さらに、「清酒は、米作りから酒造りまでが焼酎に比べても消費者に理解されやすい部分がある。今後は、そうしたところのアピールとブランドづくりが重要になっていく。清酒はまた、必ず注目される」と、清酒業界にエールを送った。
 来年の夏期酒造ゼミナールは鳥取県で開催される。