原武商店、鷹正宗を買収 “異質卸”新たな決断

2008年06月11日

  【福岡】酒類卸の㈱原武商店(久留米市、原武康弘社長)が、酒類製造・販売の鷹正宗㈱(久留米市、三好進社長)を買収することが明らかになった。鷹正宗は、コカ・コーラウエストホールディングス㈱(本社・福岡市、末吉紀雄代表取締役CEO)の100%子会社。上場会社のコカ社が5月27日、譲渡合意を発表したが、原武商店・原武社長は、譲受予定の6月19日が過ぎるまでは、買収社の今後の事業方針など一切を明らかにできないとしている。買収額は、コカ社との契約上、公表できないという。

 原武商店は従来の酒類卸事業から脱却し、新業態の小売店「Re-Lax(リラックス)」をフランチャイズ展開。2002年6月、福岡県前原市に1号店をオープン。酒類の“新専門店”を標ぼうする「Re-Lax」は、NB商品を実勢価格並みのリーズナブルな価格で提供する量販分野と、ワインや日本酒、本格焼酎などを揃える専門分野を併せ持つ複合店。品揃えの充実はもとより、徹底した購買履歴管理に基づく、DMアプローチなどで顧客を創っている。酒類売り場の活性化を求めるAコープ(農協系)やFコープ(生協系)の要請にも応え出店が加速。出店地域は北部九州3県(福岡、佐賀、長崎)、南九州の大分にも及び、6月6日付け100店展開の節目を迎えた。

 同社は新規事業の展開過程で、ビールメーカーとの特約契約も解消。チェーン小売店への商品納入、ベンダー機能はすべて他の酒類卸業者にゆだね、システム運営に徹している。現状、鷹正宗は、同社にとって取引メーカーの1社に過ぎず、事業運営においても“リラックス事業”とは切り離し、酒類製造事業社としての再構築を図る考えだ。

 鷹正宗は昭和10年設立。コカ社の資本参入後は、焼酎の量り売りジャンルなどで業績を伸ばした。平成19年12月期の売上高は47億9700万円。現27人の従業員(うちコカ社から出向や移籍6人含む)は引き継ぐ考え。譲受予定の6月19日に、同社会長に原武商店・原武社長、社長に同・佐藤司統括営業部長が就任する。