田苑酒造 迫力の響き、声楽に酔う

2009年04月28日

 【鹿児島】田苑酒造(有川徹社長、薩摩川内市樋脇町)は4月19日、「酒蔵サロンコンサート」を開催した。同社が同地に約200年前の酒蔵を移築し建設した“日本初の焼酎資料館”(昭和61年開館)を会場に、平成4年から春秋恒例で続けているもので34回目。

 今回は“春をたのしむ、声楽とピアノジョイントコンサート”の題で、地元鹿児島県指宿市出身、バリトンの大山大輔さんをはじめ、大山さんの妻でソプラノの湯浅桃子さん、ピアノの亀澤奈央さん(鹿児島市出身)が出演。歌劇・椿姫の乾杯の歌、からたちの花、ヴォカリーズなど、世界から日本の歌曲まで演目は約30にも及び、酒蔵ならでは迫力の響きをたたえた歌声に、収容満杯330人の来場者が酔いしれた。

 同社は明治23年に塚田酒造場として創業、昭和54年田苑酒造(株)を設立。平成3年にはクラシック音楽熟成仕込みを本格的に開始した。翌4年、そうした取り組みを伝え、音楽を通じた地域活性化・文化向上に寄与するため同コンサートを開催。毎回、国内外一流の音楽家が出演するもので、収容約300人分のチケットは即完売の人気を博し続け、17年にはメセナアワード2005((社)企業メセナ協議会主催)で「地域文化賞」を受賞している。

 文化活動はもとより、焼酎製造の技術力でも高く評価される同社。鹿児島県酒造組合と熊本国税局が主催する2つの鑑評会ともに、すでに30年連続入賞を果たしている。