日本・侍士の会(鹿児島)、芋焼酎「蔵番長」、礎は“地の農”にあり、杜氏歴半世紀の技が醸す

2005年04月13日

  【鹿児島】“地の農”にはぐくまれた、異彩を放つサツマイモとコメ。醸したのは杜氏歴半世紀の技--。そんな芋焼酎の披露会が4月8日、財部町であった。酒名は「武門・蔵番長」。原料となるイモは大隅・末吉町産の「ベジータクイーン」、麹用のコメは財部町産の「白玉」で、これを阿久根市に醸造場がある鹿児島酒造・黒瀬安光杜氏が仕込んだ。蒸留後すぐにでも飲める香味に、関係者も驚く出来栄え。当日の試飲パーティーでも、どのような飲み方でも柔らかでキレのある味わいに感嘆の声が上がった。
  「侍士の門(さむらいのもん)」(醸造蔵・大崎町「太久保酒造」、平成17年度販売計画410石)をはじめオリジナルの芋焼酎を開発し、全国の酒販店が販売にあたる「日本・侍士の会」(酒販店会員65店、事務局・酒販店「焼酎屋の前畑」<財部町、前畑浩一代表>)の本格第2弾商品となる。1・8Lびん詰品のみ、税込み小売3360円。初年度の総生産・販売数量は7730本(77石強)で、4月中・下旬から同会会員店のうち23店で販売する予定だ。
  「蔵番長」の酒名は、黒瀬杜氏の焼酎造りに敬意を表し、“蔵番の総長”から命名。原料となる「ベジータクイーン」は、コガネセンガンの血を引くベニアズマの突然変異種。オレンジ色の果肉で、「旨みとなるベータカロチン(値)が高い」(栽培をまとめる甘藷仲卸販売「竹下商店」<大隅町、竹下一成代表>)。「白玉」は酒造適性に優れていたものの、栽培が途絶えていたものを平成7年からの取り組みで復活させたコメで、「侍士の門」の麹米でもある。栽培は、山村農業地域で特色ある米作りを実践する農家で構成する「白玉米復活栽培保存会」(財部町、下川幸春会長)が担っている。
 当日の披露会には生産農家や地元の焼酎愛飲家、取り組みを支援する行政関係者ら約80人が出席。あいさつに立った「侍士の会」の前畑さんは、「焼酎ブームの水面下で、農家、蔵元のご協力を得てできた『蔵番長』は、(今年7月の)3町合併に先駆け生まれたわけで、(新市の)特産品になるよう育成していきたい」と力を込めた。地元農業との連携を深めながら、将来的には全会員酒販店の販売数量に達するまで増産を続ける方針を示すとともに、「タイプ別、シリーズ別を含め10万本(1000石)を目指したい」との目標も掲げた。