ビール4社 Pパレ共同回収を全国で実施へ

2019年05月13日

 大手ビール4社(サッポロビール、サントリービール、アサヒビール、キリンビール)は、昨年11月から東北エリアで先行展開しているビールパレット(以下=Pパレ)の共同回収を、7月以降、首都圏、東海、九州エリアに順次拡大する。さらに11月からはその他エリアに順次拡大し全国展開する予定と発表した。


 近年のトラック輸送のドライバー不足を含む物流部門での労働力不足を背景に、Pパレ回収の物流合理化による環境負荷低減とメーカー・得意先双方の業務負担軽減を目的とするもの。7月からのエリア拡大により、回収車両の積載効率の向上と回収距離の短縮により二酸化炭素の削減がさらに促進されることになり、ビール4社合計で、年間の二酸化炭素排出量を従来比で約53%減となる約4778tが削減できると試算している。先行展開している東北エリアの得意先からは、Pパレ返却先が4社から1社に集約され、業務負担が軽減されたとの評価があるという。

 Pパレは、業界統一規格として1992年から酒類飲料業界で共同利用されており、2013年にはPパレ共同使用会の一般社団法人化を契機として伝票の統一や共通受払システムの導入などPパレ管理業務の標準化を図ってきた。しかし、これまでは得意先からの回収については各社が個別に実施していた。

 共同回収では、年間でPパレ共同使用会加盟社合計の回収枚数が1万枚以上の得意先を対象としており、Pパレ回収をビール4社で分担。回収代表社を選定し、得意先ごとに回収代表社がビール4社分のPパレを回収していくほか、ビール4社のグループである各飲料会社4社分のPパレも回収対象に含み、今後は、清酒や焼酎メーカーなど110社が加盟するPパレ共同使用会全体への展開を目指していくとしている。

 【共同回収の展開エリア】

 ▽2018年11月~=東北(青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島)▽2019年7月~=首都圏・東海・九州(東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・三重・岐阜・静岡・福岡・佐賀・大分・長崎・熊本・宮崎・鹿児島)▽2019年11月~(予定)=全国(予定)
 ビール4社は、「世界的に関心が高まっている温室効果ガス対策や、長距離トラック輸送のドライバー不足に伴う物流インフラのひっ迫に対して、環境にやさしく持続可能な物流の共同展開を進めてきたが、引き続き『競争と協調』の視点から既存の枠組みを超えた協力体制を構築することで、さらなる持続可能な社会への貢献を目指していく」としている。