新しい“浅草浪漫の味” 「電気ブランハイボール」が人気

2011年02月09日

 浅草浪漫の味が、今再び人気を集めている。オエノングループの合同酒精が製造・販売するリキュール「電気ブラン」が料飲店を中心に好調に動いており、昨年は前年比20%増を示した。特に「デンキブラン30%」1・8lサイズは前年比45%増と料飲店での需要が高く、ハイボール人気に伴う「電気ブランハイボール」のメニュー採用店増が大きく寄与した。

 「電気ブラン」は、同社の創業者である神谷傳兵衛によって1893年(明治26年)頃に生み出された輝きのある琥珀色のリキュールで、ブランデー、ワイン、ジン、ベルモット、キュラソーなどをブレンドし、ほのかな甘味の中に感じられるピリリと刺激的な舌触りが特長となっている。浅草「神谷バー」の看板メニューとして知られており、“浅草浪漫の味”として多くのファンに時代を超えて飲み継がれている。

 「電気ブラン」というネーミングは、誕生した当時、“電気”が文明開化の先端であったことから、モダンで珍しく新しいものを「電気○○」と呼ぶ風潮と、ピリリとしびれる飲み口があいまって名付けたとされている。

 「『電気ブラン』は当社で一番の長寿商品で、明治に誕生し、大正・昭和・平成と時代を超えて愛されて120年経ち、神谷バーがある浅草を中心に安定したニーズを保っていた。しかし、近年のレトロブームが起きた頃から出荷数が増えはじめ、さらにハイボールブームを契機に実施したキャンペーンが奏功し、既存エリアでの販売増のみならず、新規エリアにも拡張することができた」と同社の片山靖之営業本部営業推進グループマネージャーは語る。

 キャンペーンは、料飲店の「電気ブラン」注文数に応じ「電気ブランハイボール」を簡単に作れる専用グラスをプレゼントするもので、当初5000個用意したグラスは瞬時になくなり、急きょ増産を行った。首都圏を中心に、関東甲信越、関西、北海道など1200店以上(昨年12月時点)もの料飲店が採用している。好調につき、同キャンペーンは現在も継続している。

 金色のロゴの入ったクリアな専用グラスは、ハイボールの琥珀色を際立たせるとともに、「電気ブラン」を注ぐ量の目印に“電気”にちなんで稲妻マークを採用し、電気ブランハイボールを飲んだ人に印象を強く残すデザインとなっている。

 片山グループマネージャーは、「レトロブームやハイボールブームに追い風を受けたが、これから『電気ブラン』ゆかりの浅草に近い東京スカイツリーの効果も期待したい。墨田区の発表によると、墨田区における経済波及効果は880億円、周辺街区への年間来場者数2085万人のうち461万人が飲食へ流れると見込んでいる」と東京スカイツリー効果を示すとともに、「先人が残した古き良きものと新しいものの融合を感じてもらっている点において、『下町』と『東京スカイツリー』、『電気ブラン』と『電気ブランハイボール』には、温故知新という共通のキーワードがあるかも知れない。浅草・神谷バーでは、ビールをチェイサーに『電気ブラン』をストレートで飲むのが“粋”とされている。こういった伝統的な飲み方を大切にしつつ『電気ブランハイボール』という新たな飲み方を提案し、低アルコール飲料を好む若い世代をはじめ多くの人にファンになってもらいたい。そしていつか、『電気ブラン』の伝統的な飲み方にたどり着くきっかけになればと願っている」と「電気ブラン」の未来図を描いている。

 「電気ブラン」は浅草の地酒。地酒は地域と共に歩むもの。活性化する浅草周辺とともに、「電気ブラン」もまた、新たな時代を迎え、活性化が進んでいる。