【福岡】福岡県酒造組合(江﨑俊介会長)は5月18日、福岡市内のホテルで第63回通常総会を開催し、平成28年度予算案(一般会計収支=8109万円)などの議案を可決承認したほか、任期満了に伴う役員改選を行い江﨑会長が3選した。
平成28年3月末組合員数は70者(清酒61・焼酎9)。平成26酒造年度(26年7月―27年6月)の課税移出数量は、▽清酒=7303kl(前年度比4・1%増) 輸出免税数量240kl、清酒使用リキュール移出数量199kl ▽単式蒸留焼酎=4万3500kl(1・5%増) 輸出免税数量40kl、単式蒸留焼酎使用リキュール移出数量182kl 。
業界を取り巻く環境や事業推進について江﨑会長が以下語った。冒頭震災に触れた。
犠牲になられた方、被災された方々に謹んでお悔やみとお見舞いの意を表する。同業のお蔵も、また卸・小売の皆様も甚大な被害を受けているところが少なくないと聞いている。義援・支援を私たちとしても行っていきたい。また時間が経つにつれ、当初は無事と思っていた隣県である福岡の我々の蔵にもひび割れや棟・屋根の瓦の崩落などの被害が見つかっている。まだまだ余震も続いている。もしやの際に被害が最小限に食い止められるよう今一度、蔵、タンク、貯蔵酒の安全の確認をお願いする。
(1)昨年は「福岡県酒類鑑評会」の第4回を、福岡県の共催、福岡国税局の後援という形で開催することができ、江湖の左党の皆さん1400名においでいただいた。鑑評会は受賞の対象を市販酒としたことで、福岡の日本酒、本格焼酎のPRと実需につながった。蔵元同士が切磋琢磨し、福岡の酒全体の品質の向上にもつながっていると確信している。今年は9月6日に開催する予定だ。
(2)今年の酒蔵開きでは、各蔵から史上最高の人出との報告が相次ぎ、地方の酒、地元の酒が再び脚光を浴び上げ潮であると実感している。また国税局のお声がけから始まった福岡県卸酒販組合との共同プロジェクトも順調に3年目を迎えた。秋のひやおろし、春のしぼりたて新酒と、それぞれに前年を上回る1万本以上の売上げがある。何よりも福岡の酒売り場に、福岡の酒が並んだことが素直に嬉しい。卸・小売の皆さんに深く感謝したい。小売・卸・生産者がお互いの活路を見い出していきたいと思う。
(3)平成27年4月から食品表示法が施行され、国税庁Q&Aも作成された。内容を見ると、我々の業界にとっては看過できない大きな問題がある。経過措置期間が平成32年3月までと、あと4年ほどあるが、今年の夏にも勉強会を開催したい。
(5)福岡県酒類鑑評会をきっかけに、県ととても親しくなった。「商工部・観光局観光政策課」を筆頭に「商工部・中小企業技術振興課」「農林水産部・水田農業振興課」「農林水産部・園芸振興課」の4つの窓口とお付き合いさせていただくようになった。昨年9月にはタイ・バンコクで福岡の酒PR。「福岡県酒米普及促進戦略会議」では酒米生産者の皆様との研修会、福岡県産米で造ったお酒が飲めるお店のパンフレット作成など枚挙にいとまがない。本年度は香港での福岡の酒PRなどの予定もあり、県と足並みを揃えて福岡の酒のPR販促に頑張っていきたい。また本年2月の補正予算で、福岡県酒造業支援事業として800万円の予算措置をいただいた。具体的には、生物食品研究所においての吟醸酵母の開発、醸造分析機の購入、酒造業人材育成講座・全12回の開催である。有効に使い福岡の酒質の向上につなげていきたい。さらに本年3月には、福岡県産米で造る日本酒を応援する県議会議員の会を昨年に引き続き開催していただいた。
来賓祝辞のなか福岡国税局・池田政彦酒税課長は、福岡県の清酒消費に占める、県産酒出荷(課税移出)比率は平成25年度「21・5%」だとして地元での一層の消費拡大を求めた。
なお当日、永年勤続表彰を行い21年勤続・若菜康有さん(56=喜多屋)をはじめ4人の社業・業界発展への貢献を称えた。