宮崎の本格焼酎鑑評会 基幹産業へ成長

2012年02月10日

 【宮崎】宮崎県酒造組合(渡邊眞一郎会長)は2月1日、宮崎市のニューウェルシティ宮崎で「宮崎の本格焼酎鑑評会」を開催した。県産本格焼酎の年間出荷額は905億円で、出荷品目中、第1位。重要な地場産品の品質向上を目指す場、審査会へは初めて県知事による視察もあった。

 「凄い世界ですね」--。審査会場に河野俊嗣・宮崎県知事が登場。渡邊会長が案内し、他の審査員同様、白衣姿できき酒に挑戦した。宮崎県産焼酎は多様な原料で個性を発揮。感嘆の言葉は、複雑な香味を造り出す技術を称えるものだ。出品酒はアルコール分25度のため、「お湯割りにすると違って来るでしょうね。思わず飲みたくなる」と本音ものぞかせた。県産焼酎は「観光、農業へも連携する、900億円を超える重要産品」との位置付け。「消費者に親しまれる本格焼酎を造っていただきたい。県として国内外の販路拡大、PRに努めていきたい」と産業振興、需要拡大へのバックアップを約束した。

 鑑評会は県内の本格焼酎メーカーの醸造技術向上が目的で、36回目。同じ日に、官能審査と審査総評・個別講評、きき酒会を行う。個別の製造者への賞授与は行わず、出品酒の約20%にあたる成績上位酒を選定し、きき酒会での技術研究の参考としている。独自の運営は、酒質の個性化や商品開発へ寄与することを重視しているためだという。

 対象酒は平成23年2月1日以降の自製単式蒸留焼酎。今回は県内23社26工場から137点の出品があった。原料別出品点数は、▽芋=79(うちコガネセンガン52、紅系27)▽麦=35▽米=9▽そば=12▽とうもろこし=2。

 香味を評価する官能審査は、原料や蒸留法(常圧・減圧)、イオン交換樹脂処理の有無で区分し、熊本国税局・近藤洋大鑑定官室長をはじめ県食品開発センターの研究員やメーカーの製造責任者ら13人が行った。

 出品酒について近藤鑑定官室長は、共通の傾向として「欠点のある酒がほとんど見られず、長所をいかにアピールしていくのかの競争になっている。これまでは飲みやすいものが多かったが、各蔵が消費者の嗜好の多様化を意識し、個性を出そうとしている。セールスポイントが明確な酒という点で、いい品質向上が見られる」と総評。「誰の、どのような場面の」といったところまでイメージした商品開発を求め、「県の製造業のリーダー格、県産品の代表格として品質を磨いていってほしい」と話した。

 原料別には、芋焼酎は「作柄は良くなかったが、芋由来の欠点はない。甘みや特徴香がしっかりと出ている」と評価。米焼酎や麦焼酎は軽く飲みやすい酒質から、「甘みがしっかりとしてコクのある」タイプに転換。そば焼酎は「特有の個性を出し過ぎるとクセになり、抑え過ぎると分からなくなるが、そばと分かる甘みがある、レベルの高いものが揃った」と評した。

 工業統計による宮崎県産本格焼酎の出荷額は905億円(平成21年)で5年連続で1位。17年(707億円)との比較では28%伸長。県外出荷比率が85%を占め「県内経済に貢献している」(県酒造組合)。渡邊会長は、「宮崎の本格焼酎への関心が高まり、県内の工業出荷額でも第1位。名実ともに基幹産業の地位を確保している。全国シェアは2位だが、(1位の鹿児島県との)差は数ポイントのところまで近づいている」と語り、一層の飛躍へ期待を込めた。