【福岡】住吉酒販(庄島真一代表、福岡市博多区)は5月17日、福岡市のホテルニューオータニ博多で、日本酒の酒会“酒に笑う人生~お客様と手造り蔵と住吉酒販の集い~”を開催した。
全国の地酒を販売する同店は、これまでにも日本酒がテーマの酒会を重ねてきたが、今回の主旨は、料飲店関係者、消費者を対象に「地元の蔵元が造る酒を、より多くの方に飲み知っていただきたい」(同店代表・庄島さん)というもの。九州地方の日本酒の魅力を伝えながら、九州外の個性派の蔵元にもスポットをあて紹介する機会として、初めて企画した。九州の“復活蔵”2社の出展もあり、皆が元気を共有。「明るく楽しく日本酒を楽しもう」(同)と呼びかけ、日本酒に対する先入観や固定観念から解放されて、酒の造り手・飲み手・売り手が自然体で向き合う酒会となった。
酒会は立食形式の試飲会で、21蔵(九州15蔵、九州外6蔵)が出展<酒以外にドライ明太子など珍味3社が出展>。日本酒をメインに、梅酒などのリキュールも加え、市販酒や参考出品酒合わせ100種の酒が個性を放った。来場者は会費制で310人に上り、熱気に包まれた会場では、蔵元をめぐるように試飲が重ねられた。蔵元の話に耳を傾け、蔵元が勧める飲み方も試した。
蔵元はコメや水、仕込みのこと、生まれる酒の特徴を語り、来場者からは試飲した酒の感想だけではなく、日ごろの店での評判や愛飲する酒の印象が伝えられ、酒談議に花が咲いた。日本酒が結ぶ和のなかで、言葉は蔵人や料飲店関係者、日本酒ファンの心を映す。
ある蔵元は、にごり酒を熱燗で供した。冷やは固定観念。それを壊す提案。一変する酒の表情に驚き、そして納得の姿も。会場の一角には、純米酒か本醸造酒かを当てるコーナーも。純米酒でなければいけないというような“あるべき論”に異論を呈し、自由発想のなかで日本酒を造り楽しむよう求める提案が見られた。
復活蔵も2社が出展。2人の若き造り手が会場に立った。香り偏重から脱しすっきりとした食中酒を目指したいとの考えも。自ら醸した日本酒への評価を、造りに反映させる貴重な声と受け止めた。
来場者のなかには常連も。崩れることなく、気になる蔵元へと“2巡”する人もいる。自ら蔵元に通い、日本酒を熱意を持って提供する料飲店主は、こうした会には欠かさず参加している。「蔵元から直接、一番新しい話が聞ける。復活する蔵もあって、自分も元気になる。皆で盛り上げていきたいと思う」と語る。
出展蔵元からは、「きちんと情報伝達できる場」「人間関係をつくることができる場」との評価も。九州外の蔵元のなかには、焼酎一辺倒ではない日本酒への関心の高さを実感した参加者もあった。蔵元の出展酒には、原点回帰を反映したものがある一方、さまざまな挑戦や試行もかいま見える。その諸々を来場者、主催者が支えようとしているような酒会に見えた。
出展蔵元は次のとおり。<九州>▽東一(五町田酒造)▽旭菊(旭菊酒造)▽庭のうぐいす(山口酒造場)▽独楽蔵(杜の蔵)▽若竹屋(若竹屋酒造場)▽能古見(馬場酒造場)▽鷹来屋(浜嶋酒造)▽東鶴(東鶴酒造)=復活蔵▽豊潤(小松酒造場)=同▽六十餘洲(今里酒造)▽駿(いそのさわ)▽三井の寿・美田・栄田(井上)▽万齢(小松酒造)▽花の露(花の露)▽山の壽(山口)<九州外>▽紀土・鶴梅(平和酒造)▽乾坤一(大沼酒造店)▽醸し人九平次(萬乗醸造)▽黒龍(黒龍酒造)▽獺祭(旭酒造)▽竹鶴(竹鶴酒造)