キッコーマンは、昨年の米国進出50周年を契機に、グループの将来ビジョン「グローバルビジョン2020」を策定した。同ビジョンは、2020年を目標とする同グループの「目指す姿」およびそのための「基本戦略」を定めたもの。
「目指す姿」は、同グループの定性的な目標として、“1”キッコーマンしょうゆをグローバルスタンダードの調味料にする“2”食を通じた健康的な生活の実現を支援する企業となる“3”地球社会にとって存在意義のある企業となる――の3つを定めている。
「目指す姿」を実現するための柱となる基本戦略は次のとおり。
(1)しょうゆ世界戦略…高収益を上げてきた「海外のしょうゆのビジネスモデル」を世界に広げていく。2020年の目標は売上3000億円、しょうゆの販売量100万klを目指していく(数量シェア12%、金額シェア世界ナンバーワン)。
各国別の戦略は、▽日本=高付加価値化を進めるとともに、しょうゆ関連調味料の拡大を図っていく▽北米=安定成長期に入っており高付加価値化と業務・加工用のさらなる開拓を進める▽欧州=今後も2ケタ成長を目指す。主要市場の深耕とロシア、中東欧の開拓を進めていく▽アジア=10年後の成長を支える市場として考えている。本醸造しょうゆを浸透させるとともに、中国、インド市場の開拓を重要としている▽南米、アフリカ=アジアに続く同社の成長を支える潜在力を持つ市場であり、2020年以降の成長のための助走期間と考えている――とビジネスモデルを順次世界各地に展開していく。
製造拠点は、現在海外に6つあるが、2020年にはその倍程度になると考えている。北米、欧州ともに現在の生産拠点の増産だけでは販売量をまかなえなくなるため、2015年前後に北米第3工場および欧州第2工場が必要となる。南米は可能性を検討、アジアの生産拠点については現地企業との提携なども含めて検討を行う。
(2)東洋食品卸世界戦略…しょうゆに次ぐ第二の柱として、拠点ネットワークの整備と物流体制の強化を図り、蓄積してきたノウハウを活用することで、世界ナンバーワンの東洋食品卸としての地位を強固なものとする。
(3)デルモンテ事業戦略…デルモンテ事業は、アジア・オセアニア地域の商標使用権を活用し、国内および海外での展開を図る。アジア・オセアニア地域では、タイおよび今年5月から生産が始まる中国の生産拠点を活用し、商品の競争力を向上させていく。中国市場については、生産拠点と合わせて販売拠点を構築し、本格的に参入することを課題としている。国内では、グループ経営資源を活用し、飲料事業の成長およびチルド分野への本格進出を図る。
(4)健康関連事業戦略…しょうゆ醸造で培ってきた技術と日本の食文化の中心的役割を担ってきたノウハウをいかして、「食と健康」の分野で成長を果たすことを目指す。現在、国内では臨床診断や衛生検査の分野で展開、海外では企業買収により健康食品事業を展開しているが、これらの成長を果たすとともに、新たな企業買収も視野に入れて、健康関連事業の拡大を図る。