南九州酒販 焼酎電車「三岳」蔵元同乗で賑わい

2018年11月29日

 【鹿児島】「三岳、愛子を好きなだけ飲める、夢のよう」とは“さつま焼酎電車”初参加の女性の弁。県産焼酎の需要喚起をけん引する地場酒類卸、南九州酒販(永吉孝社長、本店・鹿児島市)と県内焼酎蔵元14社で組織する「薩摩本格芋焼酎生産者協議会」が主催するもので4年目。鹿児島ならではの名物企画へと成長し人気はうなぎのぼり。沸き立つ熱気は毎回のことだ。

 焼酎電車はテーブルやイスを据え付けた、鹿児島市交通局の特別仕様の車両貸切1両。定員満20歳以上24人、参加料税込1500円。鹿児島中央駅前・電停発着(午後6時30分~8時)で市街地をめぐりながら存分に「充分過ぎるほどのおつまみ」とともに薩摩焼酎を堪能してもらう。焼酎や蔵元グッズが当たる抽選会でも盛り上げる。

 8・11月開催が定着。蔵元関係者が日替わりで同乗しもてなす。参加者からは焼酎の造り手らと交わす会話が楽しいと好評だ。閉じた空間で参加者同士も一気につながる。

 8月は▽「黒伊佐錦」大口酒造▽「鉄幹」オガタマ酒造▽「青とんぼ」小鹿酒造▽「赤猿」小正醸造▽「かたじけない」さつま無双▽「白金吟酒」白金酒造▽「赤利右衛門」指宿酒造――で運行。日によって国際交流デー、焼酎通おすすめデー、焼酎ハイボールデーなどのテーマも掲げた。

 11月は▽「さつま大海・くじら新酒」大海酒造▽「黒七夕・西ノ海」田崎酒造▽「さつま島美人・島娘」長島研醸▽「さつま白若潮・樵」若潮酒造▽「三岳・三岳原酒」三岳酒造▽「蔵の神・農林二号」山元酒造▽「アサヒ・千秀」日當山醸造――で走らせた。

 11月12日月曜日は「三岳」の日――。世界自然遺産屋久島の蔵元「三岳酒造」(鹿児島県熊毛郡屋久島町安房、馬場善朗社長)から取締役工場長・日高白圭さん、日高貴見さんが同乗した。サービスを南九州酒販鹿児島支店次長・米倉祐次さんがフォローした。

 「原生林に濾過された名水仕込み」。提供の芋焼酎は三岳・愛子・原酒三岳(アルコール度39度)。三岳の味に欠かせないと“こうじ好適米”タイ産米を使い続けている。ぶれない造りの哲学が酒ににじむ。

 飲み方は自由だが「是非一度はお湯割りを試して」とは日高工場長。旨みの詰まった油成分が溶け舌で感じやすいから。「屋久島旅行の際には蔵に寄って」と言葉を重ねた。日高貴見さんは参加者と接することで「仕事へのモチベーションが上がる。商品のご案内をしっかりすることで愛着もわいていただける」と語る。

 会社の同僚と参加した岡田恭典さんは広島から鹿児島へ転勤。同地の印象は「女子が元気」。広島では日本酒、西条酒を嗜んだが、鹿児島では焼酎を存分にということで、愉しさ満開の体験となったようだ。これからは「前割りを試してみたい」と興味は尽きない。

 運営はMBCアドバタイジング(鹿児島市)。ベテランガイド蔵元ルミさんは“チーム焼酎電車”の一員。玖子貴(=きゅうじき、さつま揚げ)、Misumi(高牧の森の水)、アサヒ飲料(炭酸水ウィルキンソン)が協賛しイベントを盛り上げる。