川上酒店 韓国学生対象に熊本県産酒セミナー

2016年02月12日

 【熊本】ニホンノオサケ、イロイロアリマスネ――。1月28日、熊本市万町の酒販店「川上酒店」(川上靖代表)に韓国からの留学生が訪れ、日本酒・焼酎セミナーが開かれた。川上さんが講師を務め、百聞は一飲に如かずということで、熊本県産酒の試飲を通じ國酒の魅力を伝えた。

 韓国の大田(テジョン)保健大学で調理を学ぶ男女学生10人が、韓国ソウル市登録国際協力NGO「アジア希望キャンプ機構」(曺圭哲代表=チョ・キュウチョル)の主催するツアーに参加。同月19日から2月14日まで日本に滞在し、飲食店等での実習などを通じ日本の食文化を体感する。日本茶の入れ方や作法、寿司握り体験、和菓子店での地産地消講義などもあり、日本固有の酒を知ることもその一環だ。調理師やパティシエを育成する常盤学園「専修学校常盤学院」(宮本茂生校長、熊本市)の橋渡しで実現した。

 川上酒店は築100年以上の日本家屋をリノベーション。独特な雰囲気を醸す。試飲には県産の日本酒を7種ほど、焼酎は球磨人吉で造られる本格米焼酎=球磨焼酎を4種ほど、それと和らぎ水を用意。特に日本酒が学生を驚かせた。県内ほぼ全蔵の酒が揃ったわけだが、すべて香味が異なる。「塩が入っているの」「果物が入っているの」という質問が飛ぶ。前者は辛口の酒、後者は吟醸酒への疑問。原料は米と水だけ、それに麹菌と酵母の働き、酒屋万流の仕込みで生まれる個性に圧倒されたようだ。球磨焼酎の方も軽いタイプや重厚なタイプ、樽貯蔵酒などで個性際立つ。「韓国の焼酎の香りや甘さは人工的化学的。ビールに混ぜて酔うために飲むことが多いが、これは違う」と話す学生も。ソジュにはない自然感、独特の味わいを感じたようだった。

 「日本酒を造っている蔵は全国に1200、焼酎は九州に300」と川上さん。その酒蔵の多さも韓国と異なる。「お酒は最高のコミュニケーションツール。上手に使って友だちをつくり本音を語れるのが日本のお酒のいいところ。御縁ができるのもお酒のお陰」との言葉には友好の熱が籠る。適量の飲酒が体に良いことも付け加えた。

 参加学生の一人、任赫さん(イム・ヒョック)は「日本のお酒を初めて直接味わい感じることが出来て楽しかった。料理の材料としても日本酒を使いたい」と出会いを喜んだ。ツアーを企画した曺さんによると最近は日本語研修が減り、和食への関心から「日本を体験したい」という要望が多くなっているという。「日本の奥深い酒のことを学び知ることは日韓交流につながる」と話す。