台風15号 千葉県内の蔵元で甚大な被害も

2019年09月12日

 【千葉】強い台風15号によって甚大な被害を受け、現在(11日午後4時時点)も停電や断水などが続いている地域がある千葉県内で、県下蔵元の被害情報が徐々に明らかになってきた。


 千葉県酒造組合によると、強風によって各地で屋根が飛ばされるなどの被害を受けた蔵元が多数いる模様。中でも、いすみ市の木戸泉酒造は煙突が倒壊するなど甚大な被害を受けた。香取郡の鍋店も屋根や看板が飛ばされる被害にあった。組合関係者によると「君津市、富津市、鴨川市などの南部では停電が依然続いており、FAX・電話もつながらないため被害状況がわからない。郵便による確認を行っているがなかなか返事が返ってこない」と現状を語る。

 11日に都内で行われた卸会社の展示会には千葉県の蔵元2社が出展。出展した東薫酒造(香取市)の関係者によると「強風で瓦が破損したり直売所のガラスが割れるなどの被害を受けた。停電から2日が経ち、電話・FAXもいまだに麻痺しているため、身動き取れない状況だ」と苦しい状況を語る。寒菊銘醸(山武市)の佐瀬健一社長は「建屋の瓦が落ちたり、水が入り込んだりしたが、復旧を行っている最中だ。幸い停電はなかったが、断水は続いており電話もつながりにくい状況だ。従業員も被災者のため会社は休業状態となっている。復旧するまで時間はかかるだろうが、なんとか今週中には目途が立てばと思っている」と現状を語った。

 組合関係者は「公的な支援の必要性を感じており、インフラの早期復帰を望む。停電で貯蔵酒や製品への影響も少なからず発生しているだろう」と訴える。木戸泉酒造は自社も被害を受けたにも関わらず、ツイッター上での情報発信を通じて、被災者らに水や氷などを配る取り組みを行っている。現地では市民レベルでの助け合いも活発となっており、相互扶助で苦境を乗り切ろうという動きがみられる。