広島県酒造協同組合 総会>2016

2016年09月08日

 【広島】広島県の酒造メーカーでつくる広島県酒造協同組合(三宅清嗣理事長)は8月29日(月)、広島市西区の料亭「う越久(魚久)」で第49回「通常総会」を開いた。今年は、10月7日(金)に「日本酒で乾杯推進会議/広島大会」が予定されており、総会終了後に全体会議もあわせて開かれた。

 「総会」には、組合員51者のうち24人が出席。平成27年度6月期「決算」など全議案を可決。酵母の開発を積極的に進める「広島県食品工業技術センター」や原料米の栽培育成に力を注ぐ「全農広島県本部(JA全農ひろしま)」との連携をさらに深める。

 「広島大会」については、三宅会長も成功に向けて組合員らの士気を高めた。

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 <事業報告(主な内容を抜粋)>

 ▽共通ブランドの酒米「千本錦」は約4500袋を斡旋。PRにも努めた。

 ▽酒造好適米や準好適米に位置づける「中生新千本」について、全農広島県本部に生産団地化の推進や安定流通対策を要請した。

 ▽全農広島県本部、広島県穀物改良協会、農業技術センター、食品工業技術センターなどと連携。八反錦以上の酒造好適米について、平成33年の開発実現に向けて引き続き選抜を進めた。

 ▽広島工業大学と連携。現在販売している酵母「KAー1ー25」の後継として、熊本系の改良をめざし、醸造特性を実験。

 ▽食品工業技術センターと共同開発した県内向け「広島もみじ酵母」を含め「広島吟醸酵母」の販売が順調。

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 <平成28年度計画>

 ■JAグループとより緊密に連携。一般米は、中生新千本の団地化を進め、好適米は4JA(5生産団地)と契約栽培で「生産者の顔が見える」安定供給体制を強化するなど。

 ■来賓あいさつも注目された(要旨抜粋)。

 【食品工業技術センター/土居睦明センター長】

 ▽当センターと酒造組合はこれまで緊密に連携し、様々な取り組みをおこなってきた。

 ▽JA全農ひろしまを加え5機関の共同研究で、高温登熟耐性をもつ多収穫米の開発は、5年目を迎えた。年2回は意見交換し、選抜の評価項目の修正などを着実に実施している。

 ▽酵母は、平成7年に熊本酵母から選抜した「KA―1―25」(県内10社以上で使用)の改良に着手。組合の受託研究として、広島工業大学と連携。

 ▽県内産の市販酒で、麹の微生物汚染が原因と考えられる4―VG(4―ビニルグアイアコール)による薬品臭や薫製臭が指摘された。11月22日(火)の酒造講話会で、この対策に詳しい新潟県醸造試験場の場長に講演していただく。

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 【JA全農ひろしま/大石直紀米穀部長】

 ▽平成24年産以降、酒造好適米の申し込み数量は年々増加し、感謝している。作付面積も本年産は前年比107%600haで、最も少なかった23年産の1・7倍超。お陰で産地の生産意欲も非常に向上している。

 ▽25年産は「気象観測以来の記録的猛暑」、26年産は「戦後最大の日照不足」と2年連続の大幅な収量減少で酒造メーカー様にご迷惑をかけた。このため昨年27年産から気象変動対策や害虫防除など一層の栽培管理により、不作でも申し込み数量に対応できるよう作付配分方法などを変更した。

 ▽今年産もおおむね順調で、苗の移植後、5月は高温で日照も確保できたため初期生育は順調。その後、梅雨時期は断続的な降水のため田の水切れが悪く、とくに早生品種で水稲の分けつが抑制されるなど茎数は平年並みより少なかったが、梅雨明け後は好天に恵まれるなど例年通りに回復した。

 ▽現在は、高温で3年前の猛暑の25年産と類似しているが、夜間の気温は平年並みに近く、このまま天候が順調なら平年並みの収量と品質を確保できる。