老松酒造(大分) 新事業展開の布石、東理HDに全株式売却

2005年11月30日

 【大分】清酒・焼酎メーカーの老松酒造(株)(日田市、資本金4500万円、森山保徳社長)が全株式9万株を、東証2部上場の東理ホールディングス(以下東理HD、東京)に売却した。売却決済は11月28日、売却額は非公表。
 老松酒造が志向する海外での市場開拓、酒類にも関連する農業分野の事業を展開していくうえで、東理HDは情報収集・分析力に長け、事業の実効性を高める企業間ジョイントも期待できると判断した。同社社長は森山氏のままで、同氏が経営を統括。国内の酒類生産・販売事業は従来どおりの展開で変わりはなく、新規事業に関して東理HDの資金力などを活用していくことになる。
 同社は1789年に創業。清酒「山水」、焼酎「閻魔(えんま)」などを主力ブランドに事業を展開。2005年6月期売上高は35億4300万円、経常利益4億2100万円で、業績は過去最高を記録。
 同社従業員は現在60人。全株売却にあたり森山社長は、「独自性を発揮できること」を重視し、そのうえで、「地方都市で不足している情報を強化する必要があった」と語る。後継者がない同社にとっては、個人保証できない債務を同社から切り話し、従業員の雇用を確保するなど、厳しくなる環境下で予想されるリスクを回避するねらいもある。
  「全売上高中、海外シェアは7%程度だが、将来的には少なくても40%にまで持っていかないと厳しい」との見方。「会社がベストの時」(森山社長)に、攻めの施策を展開していく布石を打つ決断をした。