大麦会・川西会長インタビュー 会員同士の切磋琢磨も

2011年10月04日

 【大阪】大阪の大手業務用小売34社で組織する大麦会は、今年で創立50周年を迎えた。大麦会は、昭和36年8月に大阪府内でビールを大量に販売する業務用主力の酒販店が集まって結成。「相互信頼」「秩序ある繁栄」「共利共栄」の3本柱を信条として、大阪の業務用市場の発展に取り組んできた。同会の10代目会長となる川西君和会長は、これからの大麦会について、「当会は『ビッグカンパニー』でなく『グッドカンパニー』を目指す」とさらなる躍進を目指すことを語った。

 --大麦会は、今年で50周年を迎えましたね。

 川西 会員同士が手を組み、今日までがんばってきました。結束力の強さを肌で感じています。酒販業界の状況は一段と厳しさを増していますが、当会は逆境に耐え収益力を上げ、末永く繁栄すると確信しています。

 --酒販市場の現状をどのように感じていますか。

 川西 お酒に限らず、すべての業界で低価格のものが受け入れられる、いわゆるデフレスパイラルに歯止めがかかりません。わが業界でいえば、代表的なものがビール類の中の新ジャンルがそうです。当店での動きを見ても、得意先で新ジャンルや発泡酒の樽生の取り扱いが増えています。大量消費の業務店では、これらの樽生が大きな市場となっており、今後もさらに加速するでしょう。

 --酒類におけるビール類の存在感は大きいですね。

 川西 酒類業界では、焼酎やワイン、洋酒など時代に応じて様々なお酒がブームとなり話題になります。とはいえ、やはり圧倒的なボリュームゾーンは、新ジャンルも含めたビール類になります。どれだけプレミアのあるお酒を取り扱えようが、我々のメインの仕事はビール類を売ることです。そんな中で、新ジャンルばかりが受け入れられる現状は、利益面では厳しいですね。

 --酒販市場も依然価格競争が厳しい状況にあります。

 川西 例えば、単に年商を拡大したいと思えば簡単なことで、よそと価格で競争することです。しかしこれは儲かっているかといえば、全然儲かってはいません。我々は酒屋です。御用聞きをして、商品を運ぶという根っこは変わりません。その上で酒屋として生き残っていくために、大麦会は「ビッグカンパニー」ではなく「グッドカンパニー」を目指す、と私は会員に呼びかけています。あくまで得意先にとって必要である「グッドカンパニー」であれば、年商が小さくとも酒屋という商いを継続できるかと思います。

 --現在は、お酒の流通先も広がり、あらゆる場所でお酒が購入できる状況となっていますね。

 川西 だからこそ、大麦会は「町の酒屋さん」というスタンスをあくまで崩したくないですね。例えば、「24時間営業」や「商品の単品配達」などサービスの幅を広げる方法はいくらでもあるでしょう。しかし個人的には、「酒屋」という立場を逸脱してはいけないと思っています。あくまで酒屋として、得意先にできることをしていく、それだけです。

 --「大阪」という市場には、他とは違う個性を感じますか。

 川西 やはり、大阪人ならではの本質を感じることはあります。例えば安くておいしい料理屋で、普通ならば誉めるはずが、「値段も安い、料理もおいしい。だけど出てくるのがちょっと遅かった」と何かひと言多いのが大阪です。商売についても、商売だけでなく人との付き合いという部分も重要視されます。他の地域では、価格の話だけで商売も可能かもしれない部分に、大阪ではそれ以上の交渉術を求められることもあります。

 --50年を過ぎ、新たな一歩を踏み出した大麦会として今後の抱負は。

 川西 かつて50店あった大麦会が、現在では34店。いなくなった理由は、いずれも倒産と廃業です。厳しい時代の中で、先にも言ったとおり、「グッドカンパニー」として生き残ることが大事です。大麦会は会員同士の結束も固いですが、単なる仲良しグループなだけではなく、お互い切磋琢磨せねばならない部分もあるでしょう。また異業種やライバル店に勝ち抜くために、半径5キロの商圏は死守するように呼びかけています。

 --今後の大阪という市場をどう予想しますか。

 川西 おそらく大阪の業務用市場も、これからさらに変わってくるかと思います。その時には大麦会も、他と同じではなく、大麦会ならではの商いをせねばなりません。大阪の商売人としての個性と根性を見せたいですね。