濵田酒造グループ 奄美黒糖焼酎蔵「事業支援」 

2011年09月02日

 【鹿児島】奄美黒糖焼酎の蔵元、西平本家(「八千代」「氣」醸造元=奄美市)の経営をめぐり、渦中にある濵田酒造(芋焼酎「海童」など醸造元、濵田雄一郎社長=いちき串木野市)。西平本家の代表取締役となった川越剛氏(52=濵田酒造・営業推進部長兼広告宣伝室長)は一部報道の買収表現を心外だとし、事業支援だと語った。黒糖焼酎を使った甲乙混和焼酎の商品づくりに関わるとの憶測は完全否定した。

 濵田酒造グループの今年6月期売上高は165億円。西平本家の従業員は9人。7月15日に開催した西平本家の臨時株主総会・取締役会で経営支援を受ける役員選任を行った。取締役となった中村千枝子氏(前代表取締役)は、「西平本家へ愛情があり」その事業継続が「一番いい形になる相手」を求めたという。濵田酒造の「販売網と営業力」に期待。黒糖焼酎全体の普及啓もうにもつながればと話す。

<西平本家代表取締役・川越剛氏との一問一答=8月31日、濵田酒造で> 同氏は現在、同社には常駐せず、月1回程度、業務確認などのため出社しているという。

 --同社の全株式を取得したというが。

 川越 ノーコメント。

 --支援依頼の打診はいつ、どこから。

 川越 銀行がわれわれの事業を評価いただいて、1年半ぐらい前にお声掛けがあった。

 --支援決定までの間に何を検討したのか。

 川越 島外での取扱いを前提とした上で、酒質をチェックした。

 --西平本家は事業継続を望んだ。

 川越 もちろん。奄美大島島内の事業については今まで通り、西平本家さんの現地スタッフで、島外・県外については当社の販路のなかでも、こだわりの焼酎のお取り扱い店へお薦め提案していく計画だ。ただ実際のところ、売上高はピーク時から大きく減少している。とすると、新しい商品が必要になってくると思う。既存商品はどうしても(事故米事件の)色に染まっている気がする。

 --貴社はビールメーカーのOEM(相手先ブランド製造)を行っており、黒糖焼酎を使った甲乙混和焼酎が出て来るのではとの憶測があるが。

 川越 基本的に(ビールメーカーに)原酒提供しているわけではない。憶測は有り得ない。われわれは本格焼酎に特化したメーカーなので、甲乙(混和焼酎)の部分に入っていくことはない。西平本家さんの生産規模は決まっている。それを新規に設備投資をし工場を拡張し、大きく商売を構える考えは全くない。第3次焼酎ブームが終わったが、われわれは、受け身ではなく能動的に営業でつくり上げていった販路に支えられている。量販への展開は難しいかもしれないが、本格焼酎の一つの品揃えとして奄美群島に特例特化された黒糖焼酎を持ち得ることへメリットを感じている。

 --買収報道は不本意。

 川越 (島外の)外資が参入したとか、買収という論調だが心外。あくまでも事業支援。特殊性のある島内に入っていくことはなく、黒糖焼酎の普及啓発ということで、島外・県外で、われわれの販路で西平本家さんの名を残していこう、その灯を絶やさないようにしていこうということだ。