全国酒類業務用卸連合会(業酒連、榎本一二会長代行)は5月26日、ホテルオークラ東京で第25回全国大会を開催した。大会では、今年1月に亡くなった谷口満勇会長の後任に、榎本会長代行が新会長として選任されたほか、上程の全議案を可決した。次回、全国大会は震災被災地である仙台で開催されることも満場一致で承認された。
榎本会長代行は冒頭のあいさつの中で、「業酒連がやらなければならないことは三つ。一つは酒類業務用卸業態の確立と免許制度上のオーソライズ化で、これは昨年、国税庁にパブリックコメントを提出し、運動を再稼動した。今年はさらに加速させ、行政へ強く訴えかけていきたい。二つ目はメーカー、特約大手卸との徹底的な話し合いをきっかけに、本来あるべき姿である三者のありようの確立と機能のすみわけを図り、今後予想される消費税の増税、原料高に伴う価格の変化に速やかに対応できる体制を整え、かつ酒類流通における業務用卸業態の存在の不可欠性を改めて認知させること。三つ目は業酒連が中心となり、全国業務用卸業者のお客様の機能向上を図り、料飲市場発展のための施策を発信し、酒類消費の安定と向上を実現したいと思っている」と述べた。
今年度の事業方針では、「販売におけるガイドライン、指針無き酒類販売免許の規制緩和は結局のところ狭いパイの奪い合いという過当競争を生み、その結果、酒類販売業界としての付加価値は激減し、残念ながら既存の業務用酒類販売業者は誰も幸せになれないのではないかという不毛な状態に向かってしまっている」と指摘。「予期せぬ災害も発生し、正に業務用酒類業界も未来に向かって大変革を起こしていくべき年」と位置づけ、行政、メーカー、卸に対して提言と諸事態是正を強く訴えていくとし、次の6項目に重点的に取り組むとした。
(1)前年度策定事業の内未済案件の継続推進=①税制改正要望を行政および立法に再提案②業務用酒類管理者制度(仮称)の導入を図る--。
(2)メーカー、大手特約店との話し合いを活発に行う=定期的に行ってきた活動だが、今年度はさらに強化し、話し合いを通じて次の要望を強く訴求していく。①ビール新取引制度を撤廃し三層価格制度に戻してもらうよう要望②業務用商品と家庭用商品の販売チャネルの明確化をメーカーに要望。特に樽生ビール類を業務用限定流通商品として認めてもらうよう要望③空容器回収料金の改定および空容器保証金制度の改定を要望④業務用主力商品の市場価格安定への協力を要望⑤大手特約卸の優越的地位に基づく業務用市場参入の阻止を要望⑥縮小市場の中で生販三層が健全に存在していくためにメーカーのリーダーシップを要望--。
(3)会員増強と発信力の強化=酒類流通における業務用酒販店の存在価値を高めるため、業務用酒類業界を変革するため、また、業酒連の対外的な発信力を強化することは不可欠で、その発信力の強化には業酒連を通じて業務用酒類卸業者が一つにまとまることが必要。
(4)業務用酒類の主力商品の販売における業界のガイドラインの作成=酒類業務用市場は、過当競争による潤いの無い世界に向かってしまっている。この状況を自分たちの手で解決するには、少なくとも主力商品の販売におけるガイドラインの作成が必要。そして販売に係る全ての会社に理解と協力を求めていくといった自助努力を目指す。
(5)実務者会による若手人材の育成=次世代を担う若手リーダーを育成することを目的に実務者会の内容をより充実させて年2回の開催を目指す。
(6)主に商品開発を通じて業酒連協同組合活動へのサポート=業酒連主導の付加価値の高い業務用専用商品の開発を協同組合と協力して推進していく。その中で、各メーカーの業務用専用商品と思われる商品を業酒連のPB商品という位置付けはできないかという試みもトライしてみる。