アサヒビールは2月8日、今年7月1日に予定している純粋持株会社制への移行後の経営体制を決定し、持株会社のアサヒグループホールディングスの会長兼CEOに荻田伍氏(現・アサヒビール会長兼CEO)、社長兼COOに泉谷直木氏(現・アサヒビール社長兼COO)、副社長に本山和夫氏(現・アサヒビール副社長)がそれぞれ就任すると発表した。また、酒類事業子会社となるアサヒビール社長には小路明善氏(現・アサヒビール常務取締役兼常務執行役員)が就任する。小路氏はHDの取締役も兼務する。
持株会社移行後、アサヒグループホールディングスは、取締役直轄の17部門(経営戦略、IR、財務、人事、IT、国際、研究、生産など)を配置するフラットでかつ柔軟性のある組織体とし、クロスファンクショナルな業務執行が促進される体制とする。同時に、HDに事業担当取締役を設けることで、グループ全体の事業戦略と機能戦略とが整合したグループ経営の推進を図る。
新・アサヒビールは、現行のアサヒビールから国内酒類事業を分割し発足させる。研究生産本部、マーケティング本部、営業統括本部、経営企画本部および監査部を設け、機能ごとの専門性を追求すると同時に事業環境に応じた迅速な意思決定ができる体制とする。
2月8日には、荻田会長、泉谷社長、小路常務が揃って会見。
荻田会長は、「HDへの移行は、ひと言で言うと、『長期ビジョン2015』の達成のための体制。グループ全体を俯瞰(ふかん)して見る経営の目と、ビール・飲料など事業そのものに集中する経営の目を分離し、HD会社と事業会社のそれぞれの役割を明確にした方が、力を発揮しやすい体制だと考えた」と新体制移行理由について述べた。
また、泉谷社長は、「長期ビジョンでは、売上高で2兆から2兆5000億円を達成し、世界の食品企業トップ10入りを目標に掲げている。2012年までの第4次中計で売上高1兆5600億円を目指すが、第4次中計後の2015年までで5000億円以上の売り上げ成長を達成しなければ、2兆から2兆5000億円は達成できない。かつ、海外の売り上げを20%から30%に高めるとしているので、5000億円のうち3000億円から4000億円を海外で、1000億円から2000億円を国内で伸ばしていく計画になる。国内の事業を行いながら海外も、という現在の組織体制よりも、海外事業を専門に行うHDの役割を明確にして、中計、長期ビジョンの達成のスピードを上げていく」と説明。2015年までに8000億円程度のキャッシュの調達が可能とし、海外ではアジア・オセアニアの酒類・飲料会社を、国内では飲料・食品会社を軸にM&A展開を行うことを改めて表明した。
アサヒグループホールディングスの概要は次のとおり。
▽本社所在地=東京都墨田区吾妻橋1-23-1▽資本金=1825億3100万円▽従業員数=約240人▽グループ連結売上高見込み=1兆4900億円(2011年12月期予想)▽会長兼CEO=荻田伍▽社長兼COO=泉谷直木▽副社長=本山和夫▽常務取締役=川面克行▽同=長尾俊彦
新・アサヒビールの概要は次のとおり。
▽本社所在地=東京都墨田区吾妻橋1-23-1▽資本金=200億円▽▽株主=アサヒグループHD(100%)▽従業員数=約3300人