サントリービール工場 ビールを“五感”で学ぶ

2010年07月05日

 【京都】「ザ・プレミアム・モルツ」の魅力をより深く知る……。サントリー武蔵野ビール工場・京都ビール工場・九州熊本工場では、「2010年ザ・プレミアム・モルツ講座」を4月から8月まで開催しており、ビールに関心の高い消費者を中心に人気を高めている。今回、京都ビール工場の同講座を訪れ、ビールの魅力を参加者にいかに伝えているのか体験してみた。

 工場では、通常でも工場見学を行うガイドツアーを開催しているが、同講座はより「ザ・プレミアム・モルツ」に焦点を当てたものとなっており、時間も通常のガイドツアーに比べ30分長めの1時間半となっており、じっくりより深くビールを知ることができる。

 講座は“1”「こだわり講義」“2”「製造工程見学」“3”「こだわり試飲」の3部構成となっている。

 「こだわり講義」では、モニターとガイドの説明を交え、「ザ・プレミアム・モルツ」の歴史について説明。20年前に誕生した、同商品のベースとなる「モルツ・スーパープレミアム」を紹介し、こだわりの素材・製法により、「世界最高峰のビールをつくりたい」との思いが「世界への挑戦」へとつながり同商品を育んだことを説明した。その後、2005年のモンドセレクションのビール部門で「最高金賞」を受賞し、思いが実現するとともに、これが契機となり、同ブランドの知名度は一気に上がった。

 続いてこだわりの素材について、「麦芽」「アロマホップ」「ビターホップ」の実物を紹介。参加者は、華やかな香りの決め手となるアロマホップや麦芽を実際に手にとり、麦芽を食べてみたり、ホップの香りをかいでみたり、五感を駆使して素材と触れ合った。

 また、醸造技師の熱い想いや発売までの経緯を紹介する「開発秘話ビデオ」を上映。この映像は、同ツアーでのみ上映されているもので、同社のビールづくりにかける熱い思いが伝わるものとなっている。映像の中で、同商品の開発者・山本隆三技師は、「世界一おいしいピルスナービールをつくる、これを目指しました。人間の五感でしか、よいモノはつくれない」と製造者の立場としての思いを強調した。

 続いて、「製造工程見学」に移行。「仕込」から「発酵」「貯酒」「ろ過」「充填」「パッケージ」までの流れを順を追って見学した。参加者は、「仕込」エリアの仕込み釜や煮沸釜の大きさに圧倒されたり、「充填」の速度の早さに驚いたりと、ビールづくりに実際に触れることで「ビールづくり」そのものを深く理解した。

 「こだわり試飲」は、「ビールの楽しみ方講座」ともいえ、実際に「ザ・プレミアム・モルツ」を試飲することができる。ここでは同商品のもつ「良質な香り」「華やかな香り」「深いコクと旨み」といった味わいの特長を、さらに引き立てる相性の良いおつまみを用意。「豆菓子」「ドライフルーツ」「カラメルビスケット」「みそ落花せん」「ビーフパイ」といった異なる特長を持った5種のおつまみを提供し、参加者はビールとの相性をじっくり吟味した。また、通常のガイドツアーでは試飲できない「ザ・プレミアム・モルツ<黒>」の試飲も行った。

 さらに、家庭で簡単にできる缶ビールのおいしい注ぎ方も紹介。「『ザ・プレミアム・モルツ』は“グラスで飲んで下さい”との思いをこめてつくったビールでもあります」と指摘するとともに、グラスに注ぐことにより“1”香りを楽しむ“2”味を楽しむ“3”見た目を楽しむ--と3つのおいしい味わいを体感できると語った。会場では、来場者から何人か代表者を選び、おいしい注ぎ方をガイドさんとともに実演した。

 講座終了後、参加者全員には「修了証」が配られる。これは同講座を受けた証であり、中にはおいしい缶ビールの注ぎ方など「ザ・プレミアム・モルツ」を楽しむためのお役立ち情報をカードサイズで盛り込んでいる。修了書を受け取った参加者は、満足げに微笑んでいた。

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 同講座は、「ザ・プレミアム・モルツ」の魅力をより深く伝えるため、つくりの現場であるビール工場で2006年から開催しており、これまで全工場でのべ4万2000人を超える人数が受講しており、今年は年間1万8000人とさらに規模を拡大している。

 同講座について京都ビール工場の案内係の筑後さんは、「一般的なお客様からコアなファンまで、幅広い層の人が参加しています。男女比は半々で年齢層も幅広く、男女ともに1人で参加されるお客様もいます」と参加者の幅広さを指摘するとともに、「特に『開発秘話ビデオ』の上映は好評です。ビールというお酒は『機械でつくる』という印象が強いらしく、あのビデオを見ることによって、技師の熱い思いが伝わるとともに、ビールがかくも人の手がかかってつくられたものかと納得いただき、『ビールへの見方が変わった』というお客様もいました」と語った。

 五感で学び、製造者の熱い思いにも触れる。この講座に参加すれば、今後のビールの味わいも今以上に深く美味しく感じられるようになるかもしれない。