マンゴー梅酒、仕込み 九州産素材100%に挑む

2009年09月09日

 【福岡】インターネットモール、楽天市場の売上げランキング・梅酒部門で第1位を獲得するなど人気の「フルフル完熟マンゴー梅酒」(リキュール)の仕込みが8月17日、製造の蔵元、山口(名)(山口伊平代表、久留米市北野町)で行われた。製品のベースとなる原液をつくるため、果実などを酒に浸漬する工程。九州産素材100%使用に初めて臨んだ。

 マンゴー梅酒は、フルーツ浸漬酒の原液に、同社が日本酒をベースに福岡県産梅で仕込んだ梅酒を合わせ製造されている。商品名にある“フルフル”は“Full Fruity”=「超フルーティで甘酸っぱいお酒」と“Fruit & Fleur”=「花や果実の華やかな香り」--の造語。

 今回使用の素材は、熊本県産のマンゴーとパッションフルーツ、沖縄・奄美産の砂糖。熊本県産果実で賄うため、同地の生産農家にあたり、時間をかけて人間関係をつくりながら準備を進めてきた。完熟にこだわり、仕込み時期の微調整も続けた。

 当日は、砂糖を加えた佐賀県産麦100%の麦焼酎に、完熟した2つの果実を皮むきして浸した。タンクにあふれんばかり。濃密な芳香に満たされた。

 同様の仕込みは同月10日に続き2回目。1年程度の熟成を経たのち、商品化される予定だ。

 「フルフル完熟マンゴー梅酒」は2007年10月、「九州酒匠乃一座」(きゅうしゅうさけのいちざ、小平幸江代表、福岡県北九州市)と同社が協働開発した“フルーツ梅酒”ジャンル商品の先駆け。販売元は酒類卸の中村酒類販売(中村豊一郎社長、佐賀県多久市)で、全国の和酒専門店を中心に小売販売が行われている。

 山口(名)は、日本酒「山の寿」醸造元。蔵元の山口郁代さんは、元・ウェディングプランナーで、「日本酒の魅力を次世代のお客様に知っていただく、そのきっかけにもなれば」と語る。「新しいことに取り組むことで、会社が一つにまとまっていく」実感もある。

 九州からの酒文化発信を目指してきた一座の小平代表は、全国の専門店をはじめ、流通の支えによって、「ようやくスタートが切れた」との思いを抱く。今後も酒文化を核に、地産地消の形を提案し続ける考えだ。

 ◇  ◇  ◇

 九州酒匠乃一座は、1999年結成。「国産紅茶や復活品種の酒米など個性の強い九州産の農産物を原材料に、完全オリジナルの酒類商品を開発する酒文化プロデュース集団」(一座)。農産物原料の調達はもとより、品種選定や栽培にもかかわり、商品の香味設計からパッケージデザイン、広報・販売戦略、ブランド育成までトータルに取り組む。

 梅酒ジャンルではこれまで、和紅茶梅酒「クレハロワイヤル」やカシス梅酒「ぱるふぇ」、「門司港バナナ梅酒」などを開発。清酒や焼酎でも企画商品の幅を広げている。