日本洋酒酒造組合(佐治信忠理事長)は2月17日、通常総会を東京・千代田区のホテルグランドパレスで開催し、上程の議案を審議した。
総会では第56事業年度の事業報告、収支計算書が承認されたほか、代表理事を1人から2人に変更する定款の一部変更が承認され、新たに下村芳夫専務理事が就任することが承認された。
国税庁の西村善嗣審議官は総会後のあいさつで、「金融市場の混乱により世界的に景気が後退しており、日本経済も企業の設備投資の減少や個人消費の落ち込みなどの影響がでている。昨年は、輸入食品の農薬混入などといった食の安全や安心を脅かす事件も相次いだ。このような厳しい環境の中で、酒類業界が消費者から引き続き信頼を得ていくためには、消費者の視点に立ち、良質で安全な酒類を提供することが重要だ」と述べ、安心安全な酒造りに取り組むよう訴えた。
また、公正取引の問題については、「平成18年8月に新指針を制定し、尊重してもらうよう周知啓発を行ってきた。あわせて実態調査を実施し、必要に応じて公正取引委員会と連携を行い、公正な取引環境の整備にあたるよう取り組んでいるが、その結果、徐々にではあるが市場価格にも変化が現れていると思う。引き続き公正な取引環境の整備に向けた自主的な取り組みを一層、推進するようお願いしたい」と呼びかけた。
当日は、平成20年度日本醸造協会醸造技能者表彰伝達式も行われ、日本醸造協会の石川雄章副会長、同組合の佐治理事長から賞状が贈られた。受賞者は次のとおり(敬称略)。
▽本庄敏昭(ニッカウヰスキー・北海道工場)▽佐々木裕(同・同)▽町田保(同・弘前工場)▽笹原太賀雄(同・仙台工場)▽早坂博美(同・同)▽酒井慎一(同・同)▽須田実(同・柏工場)▽吉田幸雄(同・同)▽政田義光(同・西宮工場)▽北島眞二(サントリー・大阪工場)▽米谷正直(同・白州蒸溜所)▽奥出健治(同・山崎蒸溜所)▽竹内豊司(同・同)▽鈴木三男(養命酒製造・駒ヶ根工場)
酒類総合研究所の木崎康造理事は、「日本のウイスキーは今、ジャパニーズウイスキーとして地位が確立している。これは、皆さんの長年に渡る研究と生産技術の改良によるものと思っている。今後も現場で、高品質な洋酒の生産に携わってもらいたい。また、これらの高い洋酒製造技術を後輩にも伝えてもらい、日本の洋酒製造の高さを今後も維持してもらいたい」と受賞者を祝った。