関西泡盛同好会 泡盛を文化と共に楽しむ

2009年01月30日

 沖縄県酒造組合連合会が販促活動として支援する泡盛同好会は、現在全国に28団体存在し、定期的に試飲イベントを開催するなど、県外における泡盛の広報活動の強い味方として機能している。中でも関西泡盛同好会は会員数が800人を超える県外最大の団体で、泡盛の魅力を伝える拠点として大きな役割を果たしている。

 人々は泡盛の何に魅了されて入会するのか、また県外で最も早く発足した同好会として、その活動内容や泡盛の関西での浸透度の変遷をどのように感じるか、関西泡盛同好会・中村和文事務局長から話を聞いた。

 --関西泡盛同好会が発足したきっかけは。

 「同会の発足は県外では最も古く、1981年に沖縄県人会会長の山端立昌さんを会長に、県人会名簿から会員を募り、200人前後の会員で発足しました。当時、泡盛はまだ、沖縄のお酒で度数が高く、きつくて臭いというイメージが強く、飲むことが敬遠されていましたが、飲んでみると奥ゆきの深い味わいと、後に残らない飲み口なので、魅了された関西の沖縄ファンから声が上がり、また沖縄の基幹産業である泡盛を関西に広めることはできないかと、沖縄県酒造組合連合会の協力も得て、年に1回の例会を開催することから始まりました」

 --活動内容を教えてください。

 「主は年に1回の例会で、平均250~300人が集まり、古酒を織り交ぜた30銘柄ぐらいの泡盛を楽しむと共に、琉球舞踊や三線(さんしん)の演奏などで沖縄の文化に触れてもらいます。また酒造メーカーの方にも参加していただいて、造り手の思いや銘柄ごとの魅力も伝えてもらっています。そのほか、2000年、2005年には泡盛の酒蔵を探訪する沖縄ツアーや、泡盛セミナーなども開催しています」

 --会員は沖縄県人の方がほとんどですか。

 「発足当時は県人会の会員が中心でしたが、1993年に山端会長が他界し、世話人不在で休会したのち、1998年に大阪マルビルの吉本晴彦さんを会長に再開したことで、同時に役員を沖縄・関西半々で構成することになりました。関西の人にも泡盛を理解してもらおうと広く呼びかけてきたことで、2008年で会員数は809人中、沖縄県人は4割、残り6割は県外の人になっています。女性も増え、発足当時男女比9対1の割合が、現在7対3くらいになっています」 

 --同会の会員数が県外最大となった理由は。

 「まず関西に沖縄出身者が多く、彼らと付き合う上で泡盛を飲む機会が多かったこと。そして、まだ泡盛を購入できる場所も少なかった時代に、当時の役員や会員が、酒屋や飲みに行った店で泡盛をおいてくれるよう交渉する草の根運動を行ってきたことがあげられます。また洋酒から焼酎へブームが移行する中で、泡盛も広がったこと。10年ほど前から沖縄ブームでメディアに泡盛が取り上げられたことで露出も多くなり、泡盛に対する偏見も減ったことが増大につながったと思います」

 --沖縄県人が泡盛に対して強い愛着を持つ理由はなんでしょう。

 「泡盛全体ではなく、私はこの地域の出身なので、この銘柄を好きだと言う人が多いです。というのも、泡盛以外のお酒を飲む機会が少なく、自分たちの飲むお酒は、その地域の酒造場で造っているので、生活に密着しているんです。例えば沖縄県では村祭りのようなイベントごとが地域ごとにあり、取り仕切るのは年配者ですが、実行するのは20代前半ぐらいの青年です。彼らはその地域の酒造メーカーから差し入れられたお酒を飲みながら、イベントを成功させようとがんばる。その雰囲気や気持ちと一緒になってお酒が生活の中に入ってくるので、自分たちの土地のお酒への愛着へとつながっていくのだと思います」

 --では、県外の会員の方は、どのような点に魅力を感じて会員に。

 「泡盛というお酒の本来の味や熟成の仕方はもちろん、少量ではありますが、当例会でしか飲めない、まだ充分に流通していない泡盛が飲めるのも魅力です。また純粋な沖縄ファンで、青い海と空、南国の雰囲気の中で味わった泡盛の味が忘れられないという思いから会員になった人もおり、泡盛を通して沖縄という異文化に触れ合えることも、会員となる大きなきっかけだと思います。当例会に来ると会員同士の交流や、誰々さんに会って沖縄の暮らしや地域の情報についてじっくり話せるなど、沖縄に関心のある人が集まってきているのではないでしょうか」

 --中村さんにとって、泡盛の魅力とは。

 「私自身が泡盛を飲みなれ、体が一番受け付けやすいためか、他のお酒と比較して翌日へのお酒の残り方が少ないように思える点が1つ。2つ目は、泡盛は水割りやロックなど割り方によって調整ができ、体調に合わせた無理のない飲み方が出来ます。3つ目が、泡盛には古酒(クース)があり、同じお酒の味が時間と共に変化していくおもしろさや、次元の違う飲み口が楽しめることだと思います」

 --関西への泡盛の浸透度については、どのように感じますか。

 「泡盛を知っている人は増えたと思います。しかしながら、まだまだ度数が高くキツイというイメージが強く、実際に飲んだことがある人は少ないでしょう。それでは本当の意味で浸透している様には感じられません。焼酎ブームで泡盛の1銘柄を置くお店は増えてきましたが、若年層や女性層が飲みやすいように飲み方を考えて出しているお店は、まだまだ少ないように感じます」

 --もっと実際に飲んでもらえる工夫が必要なのですね。

 「女性は泡盛を飲むとき、沖縄のシークァーサー果汁やマンゴー果汁で割り、この飲み方だと美味しく飲めるという自分なりの飲み方を探しており、それが愛飲率の向上につながっています。こういった飲み方・割り方を料飲店に考えてもらえたら、また変わってくるかもしれません。泡盛本来の味をなくしてしまうとおっしゃる方もいますが、どんな形であれ飲んでもらい、薄くても味に慣れてもらうことが大切です。飲まないと、わからないのですから。会の活動でも、泡盛に携わる酒問屋、酒販店、沖縄料理屋、バーテンダーなどを集めて泡盛の歴史・飲み方・勧め方などの学習会を開催していますが、さらに若年層や女性層が飲みやすい方法をPRし、広めていきたいと思います」

 --今後、同会の活動で力を入れていきたい点は。

 「会自体が古いこともあり、50代以上の会員が8割を占めますので、若年層にも会員を広げて世代交代を図り、活動を継続していけるようにしていきたいと思います。そのため参加申込書を若者向けの料飲店においてもらうほか、例会の内容に、例えば演奏にBEGIN(ビギン)の曲などポップスを取り入れるなど、若い人に受け入れられるよう工夫しています。もちろん年配層にも満足してもらえるよう伝統芸能も残しつつ、異なる世代が泡盛を中心に共に飲み楽しめるよう、役員一同協議しながら試行錯誤を繰り返し、行っていきます」