JA全農ひろしま酒米産地視察会開催 酒米育成は良好

2008年09月08日

 【広島】酒米の作付や生育状況などを産地で確認してもらおうとJA全農ひろしまは8月29日、県酒造協同組合の役職員や酒米委員らを招いて「酒造好適米産地視察会」を開催。今年は、JA広島中央の造賀地区とJA広島北部の高宮町の2カ所の産地を視察した。

 造賀では、東広島市酒米栽培推進協議会の竹野昭美会長らによって、生育状況が説明された。竹野会長は、「東広島市酒米栽培推進協議会は、地元の米と地元の水でお酒を仕込みたいとの要望で発足した。県内の他の産地と競合しない『山田錦』の栽培をはじめ、ようやく認めてもらうことができる米になった。今後も、メーカーと協議をしながら、良質な米作りに努めていきたい」と話した。同地では、西条の清酒メーカーなどで組織する「西条・山と水の環境機構」が、水源である龍王山の手入れの際に出た除伐材をチップ化し、酒米精米の米ぬかを混ぜて発酵させた堆肥を投入した圃場を視察。その他、近年の温暖化により、登熟期の高温を防ぐために田植え期を遅くしていることや、減肥、減農薬についての取り組が報告された。

 高宮では、田中秀之営農部長が成育状況などを説明したあと、「中生新千本」「八反」「八反錦」「雄町」「こいおまち」「千本錦」と、広島の主要な原料米を視察した。また、広島県立総合技術研究所農業技術センターで選抜が進められていた八反系の新品種も「広系酒41号」として作付が始められており、参加者は興味深げに見入っていた。「広系酒41号」は今年度、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターで試験醸造が開始される予定で、醸造適正などの分析が行われたあと県内の蔵で仕込が始まる。参加したメーカーからは、「広島の酒米としては『千本錦』以来となる久しぶりの新品種。『八反』系の品種ということで、醸造適正も問題ないだろう」と期待している。

 今回の視察を踏まえ9月8日には、県酒造組合の役職員や酒米委員のメンバー、JA全農ひろしまと生産農家らが集まり「広島酒米懇談会」が開催される。