租税特別措置法第87条 5年間の延長が正式決定

2008年05月01日

 中小酒類製造業者に対する酒税の軽減措置「租税特別措置法第87条」の改正案が4月30日、衆議院本会議で与党の3分の2の賛成で可決、成立した。中小酒造業者の最大の関心事でもあった今回の租特法延長問題は、政府与党の税制改正大綱どおり5年間の延長でようやく決着することになった。

 租特法87条は、酒税法改正に対する激変緩和措置として平成元年に成立して以来、実に20年にわたって継続してきた法律で、昨年末の政府与党の税制改正大綱に5年間の延長が盛り込まれていた。しかし、衆参ねじれ国会となった今国会で、ガソリン税の暫定税率をめぐり混乱。年度末の成立には至らなかった。

 同改正案は、2月29日の衆議院通過後も参議院で採決されなかったため、「参議院送付後60日以内に議決されなければ否決とみなす」という憲法59条第4項の規定に基づき、4月30日の衆議院本会議で与党の3分の2以上の賛成で再可決された。国会でようやく可決したことで酒造業界には安堵感が漂っている。

 今回成立となった改正租特法87条は、1300kl未満の製造業者に対して200klまでの酒税を清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎(以上、現行25%)および果実酒(現行30%)については平成23年3月31日までの3年間は25%の減税、その後、平成25年3月31日までの2年間は20%の減税となり、合成清酒および発泡酒(現行30%)については平成22年3月31日までは25%の減税、その後、1年ごとに5%ずつ減税幅を減らし平成24年4月1日から平成25年3月31日までの1年間は10%の減税となる。

 平成18年度における租特法適用業者は、対象酒類の製造業者全体の95%を占めており、金額では最も多い清酒で約41億円、次いで単式蒸留焼酎が約32億円で、全体の減税額は82億円に及ぶ。

 年度内に成立しなかったことで、租特法第87条については平成20年3月31日で一旦、期限切れとなったが、今回、延長が決定したことで4月1日に遡って適用(遡及適用)されることになり、4月分の出荷についても改正租特法第87条の減税割合が適用される。

 日本酒造組合中央会・宮下附一竜委員長(制度社会対応)のコメント

 「ガソリン税の暫定税率の賛否に絡み混乱したが、ようやく可決されたということでホッとしているというのが正直なところだ。今後、消費税の抜本改正に合わせて酒税についても検討されることになるだろうが、その時には、諸外国並みの中小酒類製造業者に対する恒久的な減税制度の導入をお願いしたい」。