山口県 出荷11年連続増、今秋NYで酒会を開催計画

2019年05月10日

 【山口・中四国=10面に関連記事】山口県の酒造業界は、11年連続増の出荷(約6万石、全国14~15番目)を達成し、当時の3・3倍に膨らんだ。山口県酒造組合(組合員免許24者、実製造20者、販売21社、山縣俊郎会長)はイベント「山口地酒の祭典」などを地元開催しているが、東京(10回、10月)と大阪(6回、9月)で開いている同「やまぐち地酒維新」は今秋10月に初めて米国「ニューヨーク」(全体の3割ほどが参加予定)でも計画。販売で復活する蔵は来年22者に増えるなど、足踏み状態の日本酒業界にあって同県の躍進が目立つ。

 山縣会長は「昨年は『明治維新150年』と有意義で、当県は奇跡的にジャンプアップしてきた。新元号『令和』になり、NYにもチャレンジすることにした」と強調。同県が好調な理由について「これまで9割近くが廃業するなど17蔵に落ち込んだが、ここ10数年で若い方々が蔵に帰って来て良い酒を造ってくれたのが大きい」と語り、感謝する。

 21社目として人気銘柄「Ohmine」の「大嶺酒造」(美祢市、2011年復活)が新天地で今年から本格稼働。さらに来年は、チョウザメの養殖でも話題の太陽光発電機器の「長州産業」(山陽小野田市)が異業種参入で「長州酒造」(旧・児島酒造=長門菊川、下関市)を本格稼働させる。

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 山口県は、人気銘柄が続々誕生して輸出も好調なため「日本酒のマーケット全体は厳しく13~14年連続の達成は分からないが、来年12年連続はいけそうだ」と手応え。

 その一方で「量にはこだわっていない。経済規模が小さい業界のため日本酒は『文化』を重視しなければいけない。今年はNY進出でその元年にしたい」(山縣会長)と常に謙虚な姿勢で将来を見据える。向上する高品質に加え、「みんな同胞であり、仲が良い」という協調体制と個々の地道な努力がファンの共感も呼んでいるのかもしれない。