映画「吟ずる者たち」がクランクイン

2018年11月17日

 【広島】吟醸酒の父で名高い故・三浦仙三郎氏らを描く映画「吟ずる者たち」の製作発表が11月9日(金)、広島市内であり、翌日クランクインした。竹原市出身の油谷誠至監督で、主演女優は沖縄県出身の比嘉愛未さん(永峰明日香役)。テレビ・ドラマでお馴染みの中村俊介さん、戸田菜穂さん、大和田獏さんらも出演し、来夏公開(広島先行ロードショー)。

 「脚本」は仁瀬由深、安井国穂、メインのプロデューサーは竹本克明、古川康雄(現地)ら各氏。今回の作品は、上京で仕事に夢破れ、広島に帰郷した「明日香」が父の手記を通して三浦仙三郎氏に魅せられた結果、女性杜氏として吟醸酒づくりに挑むというストーリー。

 題材・人・物など「オール広島」の映画で、県や広島・東広島・呉・竹原の各市に加え、市教委、県観光連盟、東広島市観光協会、安芸津町をはじめとする各商工会ほか、「広島県酒造組合」「西条酒造協会」「広島県社交飲食生活衛生同業組合」などが後援する。

 森満康巳ラインプロデューサーや山本豊二アシスタントプロデューサーらによると、ロケは県内(竹原、東広島・西条、安芸津、広島市内)で、12月中旬クランクアップまでに前半に現代、後半に明治を撮り、公開までに編集。

 酒蔵は、居間や玄関など室内シーンに「藤井酒造」、外観は「今田酒造本店」が協力する予定。出演の役者は総勢50名を数え、エキストラなどは大勢必要なため順次サイトで募集中で、参加協力を呼びかけているという。

 ロケ撮影3日目の13日(火)、JR呉線・吉名駅の南部でボートやヨットが多数停泊し、多島美の風光明媚な竹原市の海岸(竹原マリン)で、「酒まつり」の帰りに明日香が幼なじみと2人で海に立ち寄るというシーンを撮影。総勢50名のスタッフが真剣な表情で見守るなか、比嘉さんと俳優・篠原篤さんが広島弁などを駆使して演技をこなした。

 「西日本豪雨」で甚大な被害をうけた県内は、今回撮影現場の安芸津や竹原などを中心に、今も倒壊した家や土砂崩れの山肌、決壊で土嚢を大量に積んだ河川など生々しい傷跡が無数に散見される。

 痛ましい状況に「昨日は『酒まつり』なども再現してシーンを撮影した。映画を観て少しでも皆さんの気分が華やかになってくれれば嬉しい。地元の商業・経済に役立て『広島の酒』を広めたい」と言い、出演者やスタッフらの想いが詰まった「名作」の誕生が待ち遠しい。