ジェトロ神戸 日本酒輸出の拡大目指し兵庫県で酒類輸出セミナー

2018年02月27日

 【兵庫】ジェトロ神戸は2月15日、「兵庫県産日本酒」と「酒米山田錦」のさらなる海外発信を目的としたセミナー「海外日本酒市場の最前線」を神戸市の神戸ポートピアホテルで開催した。

 同セミナーは、酒造好適米「山田錦」のルーツである兵庫県において、海外各地域(米国・欧州・アジア)から酒類業界の有識者を招き、輸出を目指す酒造メーカー、酒販店、自治体関係者を対象とした酒類輸出セミナーで、ひょうごの美味し風土拡大協議会、ひょうご神戸国際ビジネススクエアの共催、ほんまもん山田錦需要拡大協議会の協賛で開催した。

 セミナーは、「日本酒の海外輸出拡大にどう活かすか~兵庫県産『山田錦』という地域ブランド~」(講師:法政大学経営学部教授・木村純子氏)、「海外日日系レストランでの酒展開の現状~非日系市場にいかに入り込むか」(香港・焼き鳥屋「Yardbird」ビバレッジディレクター・エリオット・フェイバー氏)の2講演を行った。

 木村氏はセミナーの中で、関税撤廃のメリットや日本酒のGI登録における「日本酒」の保護など、海外で日本酒を取り扱うために布石となる項目について説明を行いながら、兵庫県産山田錦という地域ブランドを活用するためのテロワール(場所・気候・土壌)の重要性を訴えた。木村氏は、「酒米や清酒の品質だけでは競争優位性にならない。今後、予想される海外産酒米と海外産清酒への差別化は、兵庫県のテロワールで実現できる。米生産者と日本酒メーカーが一丸となり、テロワールの意味と魅力を海外の輸入業者、流通業者、消費者に伝える努力が必要となる」と説明した。

 エリオット氏は、香港をはじめとした海外での日本酒の動きについて実例を交えながら、「アジアでは純米大吟醸の味わいが好まれる」「徹底した品質管理できちんと美味しい日本酒を飲ませてくれる料飲店も増えつつある」「中国は日本酒への理解度が低く難しい国」などさまざまな情報を説明した。また、「日本料理ではない店が日本酒を取り扱う場合には、料理とのペアリングを考えると、店で重要な位置付けになるのはシェフである」と日本酒と料理の相性の重要性も訴えた。

 講演後はセミナー講師2氏に加え、酒類ディストリビューターMexcor社のチャールズ・マグラス氏、イタリアの日本酒輸入販売店Milano Sake」のフォビア・カンタジローネ氏、兵庫県立農林水産技術総合センターの杉本琢真氏らによるパネルディスカッションを行った。