大阪国税局 清酒鑑評会を開催

2017年11月22日

 【大阪】大阪国税局は11月13日、平成29年度「清酒鑑評会」の出品酒公開と表彰式を大阪市中央区の大阪合同庁舎第三号館で開催した。清酒鑑評会の出品酒を製造関係者等に公開することを通じて、酒類製造技術の進歩、発展および品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的に開催しており、酒類製造者や酒類販売業者など約130人に公開した。

 また表彰式は、同鑑評会において優秀な成績であった出品酒の製造者を顕彰するもので、同局では19年ぶりの復活となった。

 出品酒は、大阪国税局管内の清酒製造場で製造された清酒164点で、出品区分は、▽吟醸酒=85点(平成28酒造年度に製成した吟醸酒。純米吟醸酒を含む)▽燗酒用清酒=79点(精米歩合60%以上の清酒で、燗をして約45度Cで評価した清酒)を揃えた。

 出品酒の酒質の傾向について、鑑定官室では、「平成28酒造年度は、12月は暖かかったものの、酒造最盛期となる1月中旬以降の気温は低温で推移し、概ね酒造に適した年となった。しかし原料米については、西日本では昨年の8月下旬から9月上旬までの気温が平年並みか高めに推移したため、特に8月下旬から9月上旬までに出穂する西日本の晩成品種は、平年よりやや溶けにくい米質のものが多く見られた。また山田錦については、産地によって穂発芽が見られるなど、品質のばらつきが大きいようであった。このような原料処理が難しい条件の中、製造者は長年培った卓越した酒造技術を遺憾なく発揮するとともに、夏場の間、適切に貯蔵管理したことにより、出品酒は香味が調和した優れた酒質のものが多く見られた」とコメントした。

 吟醸酒については「香りは、果実を思わせる華やかで芳醇な吟醸香があるものが揃っていた。味は、適度に熟成され、まろやかな味わいのものや、昨年の原料米の溶けにくい米質の影響からか、すっきりした軽快な味わいのものが多く見られた」と、燗酒用清酒については「香りは穏やかなものから豊かに感じるもの、味は淡麗なものから、酸がきいたもの、味の幅が広く濃醇な味わいのものまで、個性豊かでバラエティに富んでいた」と評価した。

 鑑定官室の岩槻安浩鑑定官室長は、「今年の清酒は、すっきりとしたタイプのものが多い傾向にあった。燗酒は味の幅が広がり、酸がきいたもの、深い味わいのものが増えている。今年も生●系が増えており、これはここ数年の傾向といえる」」と出品酒についてコメントした。