大阪の業務用酒販店 3社がFOR REST HDを設立

2007年06月11日

 【大阪】大阪の業務用酒販店大手の徳岡(谷口晶俊社長)、名畑(名畑豊市社長)、リカーメイトシミズ(清水豊太郎社長)は、このほど業務用部門での3社の事業統合に合意、10月1日付けで持ち株会社「FOR REST ホールディングス」を設立し、共通の理念のもとで新たな業務用酒類市場の構築に取り組んでいくことになった。

 6月5日に大阪市北区のホテルで行った事業統合説明会で名畑の名畑豊専務は、今回の事業統合の経緯について「酒類の消費は今後10年間で20%減少するという予測がある。一方、飲食業界も昨年の市場規模は24兆円で、最近5年間で5兆円も減少。特にわれわれの得意先である居酒屋の経営環境は、飲酒運転防止の影響もあり厳しい。こうした環境の中で価格競争は激化、異業種の参入増加や全国チェーンへのシフトなど、飲食業界を取り巻く環境も大きく変化している」とした上で、業務用酒販店の現状について「深夜から早朝にかけての受注活動、少量多品種・時間指定の納品、空びん回収や集金業務、与信管理の難しさ、メニュー提案など、業務は多岐に渡っており、厳しい経営環境の中で、さらなる機能強化が求められている」と述べた。

 こうした実情を踏まえた上で、今回の事業統合の経緯について「共通の理念に基づく統合、機能補完による統合だ」と説明。「単独の企業で新たな提案を行っていくのは限界がある。同じ理念を持っている3社が事業を統合することで、シェア争いから脱却し、“競争”ではなく“共生”への道を選ぶ。3社にはそれぞれ強みがあり、お互いに補完をし合っていきたい。事業統合後の目標として、上場することも考えている。個人企業から脱却して真の企業へと生まれ変わり、社会へ貢献できる企業となる一方で、優秀な人材を募り、夢を与えていきたい。上場によって得た資金は配送センターや車両など、新たな設備投資につなげていく」という。

 10月に徳岡45%、名畑45%、リカーメイトシミズ10%の出資比率で設立する新会社の社名は「FOR REST ホールディングス」。この傘下に業務用酒類販売と物流を担当する徳岡シミズ、マルシェ デ マルシェ、名畑、寺川、秋山商店、LSSの6社の子会社を置く。資本金は3億円で従業員数はグループ全体で150人、初年度の年商は140億円、経常利益は3億8000万円、得意先は6000店を予定している。会長には谷口晶俊氏、社長には名畑豊氏、専務にはリカーメイトシミズの清水浩雄氏が就任する。

 今後は9月に仕入れ先を決定した後、10月の発足を経て2010年6月にはヘラクレスでの株式公開を目指す。

 谷口氏は「システム統合によるプラットホームの共通化によって受発注、与信管理、伝票管理、資金運用、在庫管理などの共通化が図れる。今後はコンプライアンスの徹底、上場を目指す企業体質の確立に力を入れたい」と述べた。