伊藤忠食品決算 減収増益で着地

2017年05月18日

 【東京】伊藤忠食品(大阪市中央区、濱口泰三社長)は5月1日、港区の同社東京本社で記者会見を開き「2017年3月期決算説明会」を開催した。

 それによると、同社の平成29年3月期(平成28年4月1日~29年3月31日)の売上高は6310億200万円で前年同期に比べ3・4%の減少となった。営業利益は37億7900万円で5・1%減、経常利益は45億6500万円で2・2%減となった結果、当期純利益は33億7200万円で12・3%増の減収増益での着地となった。

 売上高は組織小売業との取引深耕や、新規取引など増加要因もあったが、主要取引先の一部メーカーの帳合変更があったため減収となった。利益面では物流センターなどの売却により、特別利益を4億円計上したことで、当期純利益は前期比3億円増加した。

 商品分類別の売上高は▽ビール=1636億8900万円で5・7%増(構成比26%)▽和洋酒=1012億7100万円で7・6%増(16・1%)▽調味料・缶詰=992億8100万円で0・5%減(15・7%)▽嗜好・飲料=1257億3600万円で17・8%減(19・9%)▽麺・乾物=448億8800万円で23・9%減(7・1%)▽冷凍・チルド=253億1200万円で1%増(4%)▽ギフト=488億3700万円で4・9%増(7・7%)▽その他=219億8400万円で5・8%増(3・5%)――となり、ビール、和洋酒は酒類分野の提案強化により新規取引が増加し数字を伸ばしたが、嗜好・飲料、麺・乾物は帳合変更の影響で減少となった。来期の目標は▽売上高=6600億円で前年同期比4・6%増▽営業利益=39億円で3・2%増▽経常利益=46億で0・8%増▽当期純利益=33億で前年並み――としている。

 また、経営ビジョンを「『価値』を追求し、『信頼』されるグッド・カンパニーへ」とし、重点取組も発表した。

 重点施策は「既存事業の深耕・拡大」取引先政策に加え、ギフトNo.1卸を掲げ、取引先へのギフト用インターネットサイト構築の提供や、産直を中心とした品ぞろえ強化にも取り組む姿勢を示した。物流の取り組みについては物流専門企業との協業を推進することや、営業倉庫を含めた拠点の統廃合も視野に入れハイクオリティ・オペレーションの推進に注力していく。ほかにも有名ブランド開発商品の拡充や、MD機能強化、デジタルサイネージを活用したマーケティング機能の提案などの施策も紹介された。

 会見上、説明に立った濱口社長は6月に施行される「酒類の安売り規制」について「価格訴求体系の見直しが図られ、価値訴求へ移行することを期待している。クラフトビールや、国産ワインなど価値訴求型の商品は市場を拡大するチャンスとなるだろう。当社はルールを守りながら対応を進めていく」と語った。

 また、同社と同社の取引先主要メーカー、伊藤忠商事で構成された「東京藤友会」は5月9日、中央区のロイヤルパークホテルで「第30回総会」を開催し、会員、特別会員、賛助会員252人が参加した。同会は会員相互の協調・研修・親睦ならびに情報交換を目的として設立された組織で、総会は平成24年に開催されて以来となる。

 総会では「平成28年度活動報告」「収支報告」「平成29年度活動計画」などが上程され、全て可決された。役員改選では全役員が留任となった。会場であいさつを行った濱口泰三社長は「当社は昨年130周年を迎えた。この歴史と伝統を造ってこられたのは取引先のみなさんのおかげだ」と会場に感謝の意を述べた。その後、出席会員に対し決算報告、来期の計画についても発表した。

 また、6月に社長に就任予定の取締役執行役員・高垣晴雄氏もあいさつに立ち「当社はまだまだ成長できると確信している。色々と改革が必要な部分もあるが、ビジョンがはっきりしている良い企業だと自負している。市場の変化に取り残されないよう主体性をもって取り組んでいく」と意気込みを述べた。