大分県酒造組合、本格焼酎きき酒会

2017年02月16日

 【大分】大分県酒造組合(二階堂雅士会長)が主催する平成28年度「大分県本格焼酎きき酒会」が2月6日、大分市の県酒造会館であった。今期製造の県産本格焼酎の出来栄えを官能審査するもの。独自運営で酒造技術やきき酒能力の向上につなげる。

 同県の麦焼酎製造量は全国1位。高水準の麦焼酎が揃い今期の造りを総観できる。出品対象は麦製などが平成28年1月以降(芋製28年7月以降)に製造された本格焼酎のうち県内蔵元で選別された新酒(アルコール分25度)。今回は県内16社から106点の出品があった。▽麦=100点>常圧蒸留24点・減圧蒸留76点<▽米=1点▽粕取=1点▽芋=4点。

 出品酒を原料や蒸留法、イオン交換樹脂処理の有無で区分。熊本国税局鑑定官、大分県産業科学技術センター職員、県内酒類製造従事者計17人が審査した。同日、出品者による公開きき酒が行われ、さらに出品者一同のもと個別講評が行われる。他社の出品酒への評価や製造へのアドバイスまで知ることで技術を高め合う。

 今回の麦焼酎出品酒について、熊本局・戎智己鑑定官室長は、減圧蒸留「麦特有の香りと酵母由来の華やかな香りが調和し、味は麦らしい軽やかさに甘味が加わり飲みやすいものとなっていた。全体として香味のバランスのとれた素晴らしい品質だった」、常圧蒸留「香りは常圧らしい重厚なもの、麦らしい香ばしさがあるもの、すっきりとしたものなど各製造場の個性が出ていた。味は軽さにコクが加わり麦らしい特徴が出ていた」と評した。

 現在の同県酒造組合・製造場は41場。うち清酒専業7場、焼酎専業8場、清酒・焼酎兼業26場。

 県産焼酎の平成27酒造年度の課税移出数量は9万7079kl(県内32場出荷=約54万石)で前年度比0・5%減。二階堂会長は「焼酎ブームは一段落し銘柄選別の時代に入っており、量から質への変換が求められている。ここ数年、訪日外国人客が増加し続け、平成28年度は24年度の2倍以上の2000万人に、消費額も3倍以上になっている。政府のクールジャパン戦略により、自然・文化・気候・食など豊富な観光資源の魅力を高め、地方創生の礎となるインバウンド対策が進みつつある。訪日外国人に対し、本格焼酎は日本固有の麹を使い原料の風味が生きていること、また地域の食材に育まれた美味しさがあること等をPRしていきたい。今回のきき酒会には106点が出品されているが、各社とも蒸留方法の違いなどで焼酎の味わいに変化をつける等、レベルの高い本格焼酎が出来たと思っている」と話した。