焼酎グループ、発会式

2016年10月31日

 【福岡】本格焼酎に係る全国地酒屋有志の会「脱藩黒蝶統の会(だっぱんくろあげはとうのかい)」(本部・宮崎市大橋3丁目120番地、國貞憲太郎事務局長)が旗上げ。10月18日、福岡市のホテルセントラーザ博多で第1回総会を開いた。

 オリジナル商品の開発・販売を伴う限定流通組織で、今年6月発会。現在「小売店会員」全国97店(阿波孝浩会長=福岡県北九州市門司区「酒の阿波屋」)、「指定蔵元」九州7県8社(各県1社、鹿児島のみ2社)が加盟している。すでに4社から秘蔵酒として「大堂津浜ブルース」「浜小町の女王」「月夜に吠えるオオカミ」「山海禄膳」が発売されている。他4社からも来年5月頃までに順次商品が発売される予定だ。

 総会には小売店約20店、蔵元6社が出席した。事務局長の國貞氏(46)は元は宮崎県内の焼酎蔵元の代表を務めた人物。本格活動にあたり「焼酎市場が大手独占、画一的な商品化へ進むことを危ぐしている。まさに革新の時で、そのため会を立ち上げた。幕末から明治維新の偉人にならい大きな垣根を払い、一つのベクトルに集約しなければならない。地酒屋と手を取りあい、7県が一つになり、主原料を越え本格焼酎を一つのくくりとして喧々諤々(けんけんがくがく)やることで伝統が見直されるチャンスがある」と所信を表明した。

 阿波会長(48)は「國貞さんは蔵元社長時代、バイタリティー、行動力、アイデアでどこにも負けなかった。お客様には、デザインやネーミング、ラベルなどで当時以上のインパクトを感じていただけるのでは」と期待を寄せた。他の会員からは「蔵元が1軒でも無くなるのは忍びない」「『おもろい』がキーワード」「小さな店の武器になる」など拡販への意欲が示された。

 会がプロデュースする商品は正規会員店のみの専売。各店が各蔵元と取引口座を設け直接取引する。卸単価は一律、小売上代の70%掛け。パートナーとしての積極的な取組が求められ、横流し・値下げ・乱売等は禁止。年会費は無く、年間取引量の縛りもない。会の維持管理等のため、蔵元からロイヤルティーバック(卸単価×販売数量×7%)を徴収する。

 黒蝶統会定番酒“推奨酒”第1号「王道派芋焼酎『脱藩黒蝶 慈愛』」(1・8l瓶2590円<税別>、720ml瓶1290円<同>)を11月1日に発売する。その中身について総会当日、会員が2種を試飲後、投票し決めた。会では、定番酒等の商品化には全会員の3分の2以上の議決を要すると定めている。

 商品カテゴリー構成は、①定番酒②秘蔵酒③無濾過商品④リコメンド企画(他に類のない同会プロデュース商品、定周期限定販売)。「唯一無二(酒質・技術向上・極限のニーズ)の可能性を最大限引き出す」とブランディング方針を掲げる。「低アルコールでパンチがある(酒質実現)」のための新酵母開発などにも踏み込むという。価格的には「2000~2300円のプロデュースはしないだろう。付加価値戦略が当会の肝で2500~2650円が定番になるだろう」(國貞事務局長)とした。

 初年度(平成28年6月-29年5月)売上目標は6800万円。将来構想も示した。「平成30年以降は段階的に国内会員数の増加(最大200店)を図り、海外輸出まで目論見試算の上、年間約5億円規模を目指す」。