【香川】香川県の有名酒造メーカー、綾菊酒造(綾歌郡綾川町、岸本健治社長)で7月28日(木)、第23回「呑み切り神事」が厳粛に執り行われた。同社の有力PB清酒「国重」を特約販売する国重会(宮武和俊会長)がひと夏越した新酒の熟成を調べる毎年恒例の行事で、酒販店ら大勢の会員が参列した。
「神事」は、蔵内の特設祭壇で「松熊八幡宮」の上里秀直宮司らが良質の熟成を祈願。「タンク」の栓を抜いて酒を汲む呑み切りをし、参加者らもきき酒をして熟成具合をチェックした。
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「綾菊酒造」は、大阪の有力企業、飯田グループ(飯田豊彦社長)の傘下となり、より酒質を高めるため「充填設備」や「冷蔵設備」を昨年増強。今後は地元の農業法人と協力して県産酒米「オオセト」を積極的に育成・栽培し、今夏は小仕込み用の「サーマルタンク」2基もさらに追加投資する。
「国重会」のメンバーである専門酒販店らは、こうした酒質向上の施策について「飯田グループの傘下に収まったことで、綾菊酒造の対応はすばらしくなった」と高く評価した。主なあいさつは次の通り(要旨抜粋)。
【国重会/宮武会長】
「綾菊酒造さんにおかれては毎回、会員のためにご案内頂き有り難い。今回の呑み切りは宮家秀一杜氏の完全デビューの場でもある」
「今春の『G7香川・高松情報通信大臣会合』ではレセプションの乾杯酒として大吟醸国重が選ばれ、われわれ会員にとっても喜ばしく、宮家杜氏らの研鑽の賜だ」
「今日は同社恒例のドジョウ汁の接待もあり、国重を堪能しながら2杯、3杯とおかわりして暑い夏を乗り切って頂きたい」
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<岸本社長>
▽国重は昨年108%で、今年1-6月も104%と毎年着実に伸長。設備も順調に稼動。G7では各国大臣から「美味しい」とお褒めの言葉を頂き自信になった。今後も期待を裏切らない良質の酒を造る。
▽今秋は純米吟醸国重のリニューアルを予定。県産オオセトの精米歩合を55%から50%にグレードアップし、価格は据え置く。宮家が丹精込めた自信作。呑み切り神事は最近おこなわない蔵も増えたが、当社は23回目で、これも会員のご支援の賜。今後もご拡販をお願いしたい。
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【綾川町/藤井賢町長(3選、最高齢首長)】
▼父親の時代から綾菊は素晴らしい銘酒。町としても他の酒は使わず地元の酒を使っている。
【香川県小売酒販組合/宮川義光会長】
▼今年1月から同組合は高橋主事らのお陰で日本初の県下統一をし、何とか上手くいっている。酒協も何とかして頑張りたい。
先日、東京で「街の酒屋さんを守る国会議員の会」があり、今回の法改正は衆参ともほぼ満場一致だった。安売りを食い止められる法案で2、3年後には酒屋も少しは良い暮らしが出来る。
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<名誉杜氏/国重弘明氏>
▽昨日、広島から来て蔵内の全ての酒をきき酒し、素晴らしい出来栄えに安堵した。蔵では目的を設定して努力し、達成するため執念をもってやってきたが、今は地元で農業をしている。28年度馬鈴薯品評会で1位になり、今後は15kgのスイカをめざす。
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<飯田グループ/飯田社長>
■好きな酒に仕上がってうれしく思うが、会社としてはまだまだで、今後もさらに質の向上をめざして全国に誇れる酒にしたい。
<松熊八幡宮/上里宮司>
▽綾菊酒造さんも今後、全国・世界へ行って頂きたい。皆の協力があれば外へ行ける。
▽当社の近くに酒米の田んぼが出来て私も立ち寄ったが、1本ずつ田植えをして宮家杜氏の力添えで立派な酒ができる。
▽全国でも秋は感謝祭や宮中の祭りがおこなわれ、綾菊さんも感謝祭をすればいかがだろうか。神様の力を借り、良い酒に深く感謝したい。