平成28年熊本地震製品・商品の破損甚大

2016年04月20日

 【熊本】4月15日午後1時50分、また強い余震が襲った。前日14日午後9時26分に起きた震度7「平成28年熊本地震」が余震を伴い、酒類業界へ甚大な被害をもたらした。被害が大きいのは熊本市と益城(ましき)町周辺。同地の生販事業者の死傷情報はないが、倉庫に保管した製品や店頭に陳列していた商品が総崩れで破壊の惨状は凄まじい。特に酒販店は大方の商品を失うとともに、営業再開への目途が立たず二重苦に陥っている。商品保険が地震免責だったりで、損失補てんのあてもない。再建には救いの手が必要だ。当地ではイベント中止が相次いだ。特に人が集まる企画では余震が怖い。4月19日熊本市で開催予定だった熊本国税局「酒類鑑評会」の表彰式及び製造技術研究会の中止も決まった。<九州支局・上籠竜一>

 熊本県酒造組合連合会は、熊本酒造組合(12社=清酒10、焼酎2)、球磨焼酎酒造組合(28社)で構成。県南の球磨・人吉地域にある球磨焼酎製造者に被害は無かった。一方、熊本酒造組合の組合員には被害があった。

 熊本市中央区島崎にある清酒「香露」醸造元、熊本県酒造研究所は最後の搾りまで含め全て製造を終えており、人身・建物、製造・充填ライン等に被害は無かったものの、製品が破損した。煙突は無事。蔵は瓦がずれることもなくビクともしなかったが、隣接する九州新幹線高架を覆う防音壁の方が落ちた。

 同市川尻の瑞鷹では、清酒製造の「川尻本蔵」で空瓶や製品の多くが破損した。古い蔵の土壁も落ちた。焼酎と赤酒を造る「東肥蔵」は蔵の壁の剥落が酷い状態。製品の損壊もあるが、コンビニエンスストアへの赤酒納入は予定通り行うとのことだった。歴史的な建造物だけに復元が望まれ、具体的な復元法の情報を先の震災地から得たいとの声も聞かれた。

 上益城郡山都町の通潤酒造でも蔵の壁が破損した。熊本県酒造研究所・瑞鷹・通潤酒造以外の組合員の被害報告は無い。天草市の焼酎蔵にも被害は無かった。

 熊本県卸売酒販組合の組合員は22者。熊本市にある事務所に池田正三郎理事長が駆けつけ組合員の被害状況を把握するとともに、卸中央会とも直接やり取りした。

 地区別に被害が大きかったのが熊本西・熊本東・宇土、小さかったのが山鹿・菊池・阿蘇・八代・人吉・天草。

 甚大被害地では、午後3時現在でも連絡がつかない組合員がある。寄せられた被害は「焼酎1升瓶数十ケース」「倉庫の商品の6~7割が被害。台風の時より酷い」「事務所・倉庫全滅」「ビール商品の被害は1千万円を超える」等。

 酒販店での商品破損は想像を超える。床が酒で濡れる程度のものではなく、酒が床に溜まりガラス片は土砂のようだ。「考えてもみなかった出来ごと」。再開には時間がかかる。損失を埋める保険保障はない。怪我が無かったのが幸いだし、原発等放射能被害が無いことで救われるところがあるとも語った。