日本蒸留酒酒造組合が平成28年度税制改正要望

2015年09月29日

 日本蒸留酒酒造組合は平成28年度酒税制度に関する要望書を財務省など関係各所に配布した。

 平成28年度税制改正要望項目は①比例逓減税率の適用範囲は現状に留めていただきたい②ビール類と類似性を有しない発泡性酒類については、ビール類と区別していただきたい③焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)の減税について検討していただきたい④合成清酒の減税について検討していただきたい⑤酒類の承認制度などの簡素合理化をしていただきたい――の5項目となっている。各要望理由(要旨)については次のとおり。

 【比例逓減税率の適用範囲は現状に留めていただきたい】

 欧米諸国の規定では、ウイスキーはアルコール分40度以上、スピリッツはアルコール分37・5度以上でなければならないと定められている。一方、わが国の酒税制度では、ウイスキーもスピリッツもともに37度未満には原則として比例逓減税率を適用しない(度数に比例して税額を下げない)こととされており、これにより国際的な整合性が保たれている。

 仮にアルコール分37度未満のウイスキーおよびスピリッツにも比例逓減税率の適用を拡大した場合には欧米諸国では存在し得ない低いアルコール度数のウイスキーおよびスピリッツが、低い税額の適用を受けて低価格で商品化されることになる。このことは輸入品を不当な競争条件下に置くことになるため、諸外国から「国産品保護」や「貿易障壁」などといった非難が発生し、新たな国際問題に発展する公算が極めて強いと認められる。

 【ビール類と類似性を有しない発泡性酒類は、ビール類と区別して検討していただきたい】

 税率格差縮小のため、その他の発泡性酒類に該当するビール類(いわゆる新ジャンル)を増税した場合、ビール類と類似性を有しない発泡性酒類までもが増税になる恐れがある。ビール類と類似性を有しないものまで増税されるいわゆる「巻き添え増税」が行われないよう強く要望する。

 【焼酎甲類の減税】

 焼酎甲類はわが国において長年にわたって身近な大衆酒として親しまれてきた。しかし、焼酎甲類の現在の税率は、過去の度重なる増税により、大衆酒の域を超えた非常に高いものとなっている。このような中で消費税が引き上げられると、酒税との併課に伴う影響が極めて大きいものと認められるので、応能負担の原則に立って、焼酎甲類の減税について検討してもらいたい。

 【合成清酒の減税】

 平成18年税制改正において、飲用実態などを考慮することなく大幅な増税を強いられた。市場規模も極めて小さな大衆酒である合成清酒については、消費者に過度な負担を強いることのないよう、減税を検討してもらいたい。

 【制度の簡素合理化】

 酒類に関する承認、申告制度など手続きを簡素合理化してもらいたい。